羽根邦夫Blog

”工学博士、電磁波対策製品WAVESAFE発明者のブログ”

電気刺激と筋萎縮性側索硬化症ALS その2

ALSは、運動の神経の障害により、重篤な筋肉の萎縮による筋力低下を起こす神経が変性する疾患です。ALSの10%は遺伝的な関係が視られますが、残りの90%の中に経皮電気刺激に拠るものが有ります。詳しくは、電気刺激と筋萎縮性側索硬化症ALS その1で論文を紹介しました。ALSは非常に進行が速く、半数ほどが発症後3年から5年で呼吸筋麻痺により死亡します。治癒のための有効な治療法は確立されていませんが、幾つかの薬物がALSによる機能障害の進行を抑える薬として、効能と効果の承認を受けています。いずれにせよ、快癒した例は有りません。今後、iPS細胞による神経の再生やパワードスーツなどが、治療や生活環境の改善のために試されるでしょう。

経皮的末梢神経電気刺激は、皮膚に電極を貼り付けて電流を身体内に流し込みます。使う周波数や電力、電極の貼り付け位置などに各種の方法が有りますが、大きく2つに分けます。一つは、低周波交流を流し込んで神経を刺激するTrans-cutaneous Electric Nerve Stimulation TENSで、筋肉を動かす効果を得る方式。もう一つは、1MHz以上の高周波電流を流し込んで加熱をするDiathermyで、温熱効果を使った疲労回復や、がんの治療用などに使います。後者には、1~100MHzの周波数を使うもの、915MHz~2.45GHzの周波数を使うもの、と超音波による計3つが有ります。
1941年に亡くなったルーゲーリックを始めとして、多くのプロスポーツ選手が発症したALSは、1930年代のDiathermyによる筋肉の休息と、電流加熱による深部の温熱施術を受けています。これらの治療で使った電気刺激の詳細は論文では分かりませんが、身体中を流す電流の値について、国際非電離放射線防護委員会ICNIRPは「導電性の物体からの時間的に変化する接触電流に関する参考レベル」として、以下の値をガイドラインの中で示しています。一般的にはこの値を規制値としています。

この図で、一般公衆向けのガイドラインは、1kHz以下の電流は0.5mAまで、100kHz以上は規制を緩めて20mAとして、その間を対数で繋いたものです。ICNIRPは、低周波の1Hz~10MHzでは、感電や火傷を防ぐための値で、神経系機能への影響を防ぐためとストレスや不快を感じないこと、としています。つまり、この規制値の目的は、感電や短時間の刺激電流についての値です。電気刺激を長時間行うことに対するものでは無く、これによって身体にどの様な影響を及ぼすかではありません。
ICNIRPが電極から身体内へ流し込む電流による影響についてのガイドラインに値を示したのは1998年からです。従って、ICNIRPは多くのスポーツ選手が発症したルーゲーリックの症例を参考にしてガイドラインを定めたはずで、長時間刺激も考慮したはずです。このガイドラインをWHOはそのまま規制値として公示しています。今のところは経費電気刺激によるTENSとDiathermyを原因とするALSの発症報告は見受けられませんから、ALS対策は行われたのでしょう。
現在、電気刺激で筋肉強化や痩身効果を目的とした電気刺激装置が販売されています。当然、この様な装置は上記の規制値以下の値で刺激をしているでしょう。しかし、この様な機器を長時間使ったことで、ALSを発病したことが有ることを消費者は知っておくことが良いと思います。

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