羽根邦夫Blog

”工学博士、電磁波対策製品WAVESAFE発明者のブログ”

地球温暖化(その9) 脱炭素の方法その1 水素混合燃料発電

三菱重工と日立製作所が共同出資の三菱日立パワーシステムズMHPSは、水素を天然ガスに混ぜる火力発電所を米国ユタ州の独立系発電業者から300億円~400億円で受注しました。この事業は、最終的にはCO2を排出する、発電(41%)、運輸(17%)、家庭(5%)、商業(5%)、事務所等の合計70%弱を新発電方式でゼロとする発電システムの技術開発です。これにより、電気自動車も電気機関車も炭酸ガスを出さなくなるのです。
https://www.mhps.com/jp/special/hydrogen/article_1/index.html
2025年から稼働を開始し、この時点では水素が30%ですが、2045年は100%水素燃料とするとのことです。水素を化石燃料に混ぜることで大幅にCO2の排出量が減り、最終の100%水素では、水素を作る際に生じるCO2の回収と再利用により、CO2は排出されません。
ガスタービンに水素燃料を使うメリットは、水素と酸素の燃焼温度が非常に高く効率が高いことです。さらに、初段のガスタービンの排気熱で水蒸気を作り、2段目のタービンで熱エネルギーを再利用することで、高い効率の発電が可能となります。実用化に当たっての課題は、タービンの耐熱性と排ガス処理が大型化すると難しくなること、とのことです。MHPSの2つの親会社は共に超高効率ガスタービン発電機の経験を持つので、ジェットエンジン用の技術なども加えて技術開発を行うのでしょう。

さて、水素はどうやって作るのでしょう。まさか水を電気分解していては発電した電気では賄いきれません。水素は天然ガスや石炭と水を反応させて作ります。いわゆる化石燃料由来の水素です。石炭から水素を作る方法は、以下のURLです。
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/kattansuisoproject.html
生産した水素を運ぶ方法は幾つかあるので、いずれお送りします。
これとは別な水素源として、不安定な太陽光や風力などの再生可能な自然エネルギーの電力で水を電気分解して水素を作り、貯蔵と輸送をする方法があります。電力は貯蔵できませんが、水素にすれば電気の素の貯蔵と輸送が可能になります。将来見通しとして、2030年ころから再生可能エネルギー由来の水素を使う動きが始まり、40~50年ころには半分を超えて、以後は急速に再生可能エネルギー由来の水素発電電力が割合を増やす、とされます。

上の図はMHPSが発表した水素燃料発電の水素の製造方法のタイムスケジュールです。なお、CCUSとは、自然エネルギーによる水素製造だけでは不足なので化石燃料からの水素も必要となり、この時に生じる炭酸ガスの処理と保存、再利用をする工程のことです。この工程ができることで、完全な脱炭素が実現されます。
しかし、図によれば2050年では自然エネルギーが75%、2055年には90%近くが自然エネルギーと予測をしています。水素重視の立場から水素の比率を増やしたいのは分かりますが、水素の貯蔵と運搬はロスが多く、技術開発が難しいでしょう。この様な技術開発の失敗例として核融合発電が有る枡。計画では約30年前には実証され、現在のエネルギー問題は解消されていたはずですが、未だに実現されていません。核融合が物理学の問題であったのに比べて、水素燃料発電は既存の工学的な課題を結集するもので、実現の可能性は高いでしょう。

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