羽根邦夫Blog

”工学博士、電磁波対策製品WAVESAFE発明者のブログ”

第5世代携帯電話 (5G技術を使ったアプリその2、無人運転)

 無人運転とは、自動車を無人で運転することです。解決すべき課題は、人や物、あるいは他車と衝突しないこと。目的地まで、交通の妨げとならずに、交通規則を守って予定どおりに目的地に到着できること。が主な課題ですが、その他にも天候や事故、天災などの緊急事態が起こります。これらの問題にAIは対処しなければなりません。現在研究開発段階にある無人運転技術は、自動車が個々に周辺事情に合わせて走行するもので、レベル1から4まであり、4は完全な自動運転です。レベルが高くなるほど自律性が高くなり、緊急事態用にAI的な要素が必要となります。

 自動運転が容易なのは、決まった道路や高速道路を走ることですが、知らない街の複雑な環境を走るには周囲状況の把握とそれに対処するAIが必要になります。この時には5Gが役に立つでしょう。この様な条件下でどのように自動運転を実行するのか、考えてみましょう。
 自動運転が一番楽なのは、前方に危険が発生すればストップすれば良い、鉄道です。これを道路条件1と呼びます。次が道路条件2で、高速道路上での走行で、前方に危険が発生した時に、止まるか減速するか、横に避けるかの判断が必要です。道路条件3が空いている一般道で、前後左右の車との相互関係を把握し、信号や交通標識の認識と未来予測。一番難しいのが、道路条件4の左右合わせて1車線の道路での走行で、歩行者の飛び出しと対向車への対処。道路条件4は、商店街へ間違えて入り込んだ時を考えれば、想像がつくでしょう。仮に自動運転が技術的にできるとしても、事故が起きた時の補償を考えたら、実行に踏み切ることはできないでしょう。なお、一般的な自動運転の4つのレベルは運転への介助量ですが、ここで述べる道路条件とは、自立性の難易度でもあります。
 さて、5Gが無人運転自動車に関わるのは道路条件2以上です。条件が難しくなるほど、AI処理には大型のコンピュータが必要となります。この場合、自動車にコンピュータを積んで情報処理ができるのは、道路条件2までで、3になったら自動車側から情報をAIサーバーに送る必要が生じます。このアップリンクのデータ量はレベル4でさらに増えます。この結果、未来処理が難しくなりますが、AI側から自動車へのダウンリンクは速度と方向の指示だけで、大した量ではありません。
 自動運転のAI制御に求められるのは、周辺の自動車と歩行者の移動についての把握と、次の行動への決断です。ただし、将棋や碁のAIのように過去の事例を探し出して、どれが最適かなどと考えている時間的な余裕が有りません。自動車用のAIには非常な高速性が要求されます。
この5Gの高速で多量の無線情報通信は、ミリ波帯域近い超高周波が光に近い性質なので、基地局と自動車のアンテナを直視状態で繋いでおく必要が有ります。従って、自動車から見える所に1つ以上の基地局を作っておくのはとても難しい条件です。
 まとめると、鉄道と、高速道路の条件1と2は自律運転で充分なので5Gは不要です。道路条件3の一般道では前の車と一定距離を保って走る自律運転は出来ますが、運転者の介助が必要です。他車との関係が生じて、5Gを使って多量のデータを送受するのは、技術的に可能でも基地局の数が多くて、コスト的には不可能でしょう。条件4は市街地では携帯電話のサービス用にアンテナが沢山有るので電波条件は良くなりますが、何をするか分からない歩行者がいるので、しばらくは市街地での自動運転を5Gに任せることはできません。
 2回続けて5Gに懐疑的なブログになりました。理由は10Gbpsと言う大量のデータをリアルタイムで必要とするサービスがなかなか見当たらないことと、ミリ波帯の電磁波伝搬特性が悪くて、通信用に使うには面倒なことだからです。

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