羽根邦夫Blog

”工学博士、電磁波対策製品WAVESAFE発明者のブログ”

処理水と汚染水 (福島原発の排水について)

 福島原子力発電所からの排水には、壊れた原子炉に流れ込んで核分裂物質を直接冷却し、複数の核分裂生成物が含まれた汚染水と、これを処理して62の放射性核種を取り除いてトリチウムだけが残ったALPS(多各種除去設備)処理水とが有ります。
 現在、このALPS処理水の8割が“しくじったALPS処理水”です。2割はトリチウムだけなので、海水中に放流しても障害はありません8割はALPS処理中に62種全てを取り切れなかった処理水ですが、これも再処理すればしくじった処理水から“正常な処理水にすることができます。
 https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/osensuitaisaku01.html 
 以上は資源エネルギー庁のホームページからまとめた内容で、ALPS処理水の放射線については、末尾で述べます。

 お隣の国や、地元の漁業関係者にはこの“正常なALPS処理水”と“しくじったALPS処理水”の差がついていません。これは上記HPをよむと、正常としくじった処理水を同じ名称で呼んでいるために生じた誤解であると思います。
 まあ、2割しか正常な物を作れなかった処理技術に問題も有ると思いますが、工学的な思考では失敗は必ず有るものです。成功率2割しかない微妙な処理で、処理をしているのだ、と技術者たちの苦心を見ようではありませんか。ただし、広報やマネージメントをする方々の言葉使いが悪いために、誤解を生じたわけですからこちらの方が問題だと思います。

(ALPS処理水の放射線)
 トリチウムは水素の同位体で、正常な水素原子が陽子と電子がそれぞれ一つずつの原子であるのに対して、陽子が1個で中性子が2個と電子が1個の原子です。半減期は12年と4か月で崩壊してヘリウムになります。トリチウムのβ崩壊で出されるエネルギーは18.6eVでレントゲン撮影用のエックス線程度であり、水中では5ミクロンしか飛びません。従って、海水中のトリチウムは、濃度が高くても海上で放射線は検出されません。
 海水中のトリチウムは、過去の核実験によるものと、原子力発電所から排出されたもので、これらが体内に取り込まれた量は体重60㎏あたり50ベクレルとされます。カナダ原子力委員会の計算では、トリチウムは実効線量係数が他の放射線各種に比べて小さいためもあって、体重60kgあたり100兆ベクレルの体内被曝をしないと放射線障害を起こさないとしています。つまり、現在は2兆分の1に過ぎないので、福島で処理水を放出して海水中のトリチウムの量が劇的に増えることは考えられません。福島周辺の海水の水素原子の数は、処理水中のトリチウム原子の数と比べれば無限大に近く、人に取り込まれるトリチウムの数が増えるとは考えられません。増える、と言うのは風評です。

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