羽根邦夫Blog

”工学博士、電磁波対策製品WAVESAFE発明者のブログ”

カーボンニュートラルへ向けて その8 (EV化する中国)

 中国が2035年までに販売される車の半分以上をEV(電気自動車)、PHV(モーター走行距離が大きなHV)、FCV(燃料電池車)、残りの半分をHV(ハイブリッド車)にする、との政策指針を発表しました。この指針は、CO2を実質的に無くすというカーボンニュートラルに反しており、本当の目的は自国の自動車産業の育成です。
 この指針の表向きは、全世界のエネルギーの22%を使う(2018年の時点)中国のCO2排出量を減らすように見せかけます。しかし、これはEVやPHVの使う電気が増えることを意味します。このために、すでに水不足の中国は、新たに原子力発電所を増やすか、CO2を出す火力発電所を増やすことになります。
 中国はこれまで石炭火力発電所でした。日本の超高効率のLNG発電所を使っても、送電ロスを考えればプリウスやフィットのエンジンに比べれば良くても同じ程度でした。これに対して、中国は今稼働中の旧式で効率の悪い火力発電所をそのまま使い、新たに原子力発電所を作るのではないでしょうかミス・グレタはその事態をどの様に評価されるか、ちょっとだけ興味が有ります。余談ですが、風下に在る日本には、原子力でもCO2でも、はた迷惑なことです。
このように、中国が自動車を電化すると、CO2の排出量が増えるでしょう。EVやPHVの充電を電力使用量が少ない夜間電力だと言っても、燃料を燃やすのですからCO2は増えます。
 中国政府としてはそんなことよりも、自国の自動車産業を有利にするのが大切ですから、大気汚染のことは構わないでしょうし、この政策はうまくゆくと思います。なぜなら、電気自動車を作るのは簡単で、作る立場にとっては高度な技術を必要とするエンジン(ガソリン、ディーゼル内燃機関)を作らないで済みます。技術を継続的に育てる社会環境の無い中国では、これまでエンジンを作ろうと努力したようですが失敗したようです。韓国と違って中国は冷静であり、出来ないものは出来ない、と日欧と競うのをやめるのだと思います。

 ところがここに伏兵がいます。2035年であれば、アジア・アフリカ圏の発展途上国でもEVならば作れます。インドはすでに立派な大衆車を量産しています。上の写真は20万円ちょっとの、インド製タタ・ナノです。魅力的ですね。日本や欧米が作る衝突回避や高速道路での自動運転など、機能や安全性は高いが値段も高いHVやPHVに比べて、日常の役に立てば中国の大衆は値段が半分のアジア・アフリカ製EVを選ぶでしょう。都市部の中国人は車をステータスとしますが、農村の中国人はもっと合理的で、日本で軽自動車が大普及したのと同じになると思っています。

 いずれにせよ、巨大な購買力を持つ中国に他国は振り回されるでしょう。購買力と言う観点からすれば、without中国の商圏を作り、その購買力で安定的に商圏内を賄うこともできるでしょうが、まあ、無理でしょうね。

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