羽根邦夫Blog

”工学博士、電磁波対策製品WAVESAFE発明者のブログ”

F1メルセデスの空力問題は、旧日本海軍の2式大艇が解決していた

 いま、フォーミュラ・ワンF1レース界で“ポーパシング”と呼ぶ、高速走行時の上下動が重大問題となっています。https://www.as-web.jp/f1/827851
 この問題が顕著に発生しているのは、昨年までの王者のルイス・ハミルトンが乗る、メルセデスベンツF1です。メルセデスF1は新レギュレーションとなった今期から、このポーパシング現象に悩まされ、チャンピオンドライバーのルイス・ハミルトンは、ポーパシングによる強烈な上下動で腰と首を炒め、自力で車を降りることができないほどでした。https://www.as-web.jp/f1/827804
 ポーパシングは、F1の2022年からの新レギュレーションが、レース中に後ろの車の走行を乱さない様に、車体に取り付けた翼状のウィング類を制限したことが原因です。このため、F1コンストラクター達は、車体の下を流れる空気を使って地面との吸引力、つまりウンフォースを得ようとしています。
 ここで、車体を横から見て、車体底面と地面の作る角度を“レーキ”と呼び、後ろ上がりに設計します。走行中に車体の先端から下に流れ込んだ空気は、後ろに向かうに従って体積が増える、つまり圧力が落ちるので、車体を下向きに引っ張ります。このダウンフォースは、高速走行時に恐らく数百kgに達し、この力でスプリングは押し下げられて、さらに車体との間隔が減らしてダウンフォースは強くなります。この結果、下の写真の様に車体底面と地面が接触して火花を散らすことになります。

 しかし、何らかの原因で先端が持ち上がると、流れ込む空気が増えて圧力が上がり、ダウンフォースが減るためにさらに車高が大きくなります。車高が上限に達すると、次は車体の自重で再び沈み、流れ込む空気が減ってダウンフォースが強くなる、と言う繰り返しになります。これがポーパシングです。
 今年のメルセデスF1は、レーキ角度が他車に比べて強く、この車体底面が作るダウンフォースが強いためか、今年度は最初からこのポーパシングに悩んでいます。超高速での上下動は非常に危険で、車体にもドライバーにも害が有ります。

 さて、私が中学生のころ、今から60年以上の昔、私は地下鉄銀座線と東横線を使って中学校に通学していました。そのころの愛読書が“ポピュラーサイエンス”と“丸”で、月に1回地下鉄銀座線の渋谷駅の売店で購読していました。ポピュラーサイエンスは親が買ってくれましたが、丸は自費でした。丸は今とコンセプトがほとんど同じで、旧日本軍の技術的な説明に長けていました。その時の記事に、「2式大艇のポーポイジングの解決」と言う内容が有りました。

 2式大艇は上の写真のエンジンが4基の大型飛行艇で、見かけも大きさも現在の海上自衛隊の救難飛行艇US-2とほぼ同じです。2式大艇は、開発当初に水面と飛行艇の底面との空力効果で上下動を起こすポーポイジング現象に悩まされました。F1の“ポーパシング”と同じ現象です。ポーポイジングは、イルカが水面から飛び出しながら泳ぐことです。
https://www.bbc.com/japanese/video-53761272
 2式大艇はポーポージングに悩まされましたが、艇体形状に手を加えたのと、カンザシと呼ぶ水面と艇体の角度を一定にする視標を使って問題を解決しました。
http://www.aero.or.jp/web-koku-to-bunka/2011.05.31koshida.htm
 そんなわけで古くて新しいF1のポーパシング、70年も前にこの現象に対処して解決した方法が有ります。ドイツの皆さん、イルカの群れを見ながら頑張ってください。

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