羽根邦夫Blog

”工学博士、電磁波対策製品WAVESAFE発明者のブログ”

F1メルセデス、2022年は空力戦略を失敗して負け

 国際自動車連盟FIAがF1ドライバーたちの要望で、ポーパシング問題への対策を取り上げようとしています。https://www.as-web.jp/f1/827851
この記事の翌日、現在首位を独走中のレッドブルチームは、そんなに騒ぐ必要は無い、としてFIAの動きをけん制しています。勝っているのだから、当然のことでしょう。
 まずポーパシングとは何か、簡単におさらいをします。この問題は、FIAが2022年度から、車体に取り付けたウィングなどの空気力学的にダウンフォースを生じる付加物の制限を行いました。これは、空力的な付加物が走行中の車体後方に乱気流を残すので、後続車両が接近できず車両同士の争いが難しくなることを少なくして、抜きつ抜かれつでレースを面白くすることでした。
 空力的な付加物無しでダウンフォースを得るには、車体底面と地面との間の空気を利用します。車体の先端で底面に空気を取り込み、そのまま後ろに向かって流しながら、車体と地面の間隔を少しずつ広げて圧力を下げると、車体は地面から吸引力つまりダウンフォースを得ます。
 下の写真はベストカー誌のデータのアルファロメオGTAの後ろ姿で、ディフーザーと呼ぶ車体後端の底面が上に向かっています。縦の板は、前方から来た気流が縦方向にだけ流す隔壁です。この車体と地面の作るダウンフォースは正帰還作用を持ち、強くなるきっかけが有るとますます強くなり、弱くなる場合も同じです。これはウィングなどの空力付加物には無い特徴です。F1以外にも、最新のレーシングカーは底面のディフーザーと、車体上面のウィング類との2つでダウンフォースを作って、接地性を高めます。

 F1でメルセデスがポーパシングに悩むのは、底面のダウンフォースに頼り過ぎたからです。一方現在の王者のレッドブルF1はウィング類の作るダウンフォースを重視しているようで、ポーパシングにはそれほど悩んでいないようです。
 次の写真はF1ドライバーの運転時の体を表す透視図です。ドライバーがこの様な姿勢をとるのは、低い車体を作るとこの様な姿勢で乗らざるを得ないこと、もう一つは衝突時にこの体性であれば、前方からの強い力に耐えられるからです。

 この様な姿勢をとっていても、メルセデスF1のルイス・ハミルトンがポーパシングで体を強く打ちつけて動けなくなったのは、下向きの動きが重力だけでなくダウンフォースの強い力が下向きに働くので、地面に衝突する時の衝撃がよほど大きかったからでしょう。
 このダウンフォースは、車体底面と地面の作るレーキ角を小さくする、あるいは車体底面の面積を小さくする、などの措置をすれる弱くなります。あるいは、あるいは2式大艇が行った車体縦方向に空気の流れを導く突起物を作ることで、車体下側の吸引力の減り方は穏やかになります。これらの方法で、ポーパシング現象も収まります。ただし、前の2つは、ダウンフォースが減ってコーナリング特性が悪くなります。2式大艇の方法は、底面の形状が平坦でなくなるのでF1のレギュレーションで許されないかもしれません。
 メルセデスF1は車体の下のダウンフォースに頼り、レッドブルF1はウィング類の空力付加物の効率的な使用に頼った結果で、ドライバーへの負担と順位に差が出ました。簡単に言えば、メルセデスは空力設計の戦略を間違えたわけで、しばらくはメルセデスの一方的な負けで、レッドブルとフェラーリの優位が続くことでしょう。

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