羽根邦夫Blog

”工学博士、電磁波対策製品WAVESAFE発明者のブログ”

電磁波を除去する方法を3つ

はじめに

 今回のブログは、理工系大学を出ても、分かり難いかもしれません。それでも、出来る限りご理解頂きたく、ご説明をいたします。

[電磁波吸収体]

 電磁波吸収体は、材料のインピーダンスを377Ωに調整して空間のインピーダンスと整合させることで到来電磁波が内部に浸透し、透磁率に比例する磁気損と誘電率に比例する誘電損、および抵抗損で吸収する方式です。フェライトなどの鉄系の粉末を焼結タイルや樹脂に混ぜた磁気損失型と、カーボン粉末を使った誘電損型、です。吸収できる周波数は100MHz以上が多く、吸収する帯域幅は狭く、約1桁(例えば1GHz~10GHz)で、減衰量は20~40dB(電力で10分の1から100分の1)です。携帯電話が使う700MHz~2.1GHzの帯域では問題は有りません。

 一番のメリットは、材料の周波数特性が合えば形状にかかわらず到来電磁波を20dB程度は減衰させることができること。電磁波は吸収体電磁波の反射や特定方向への電磁波の放射を防ぐために、携帯電話の内部や、UHF帯のICタグのリーダー周辺に貼る、などに使われています。使い方は簡単ですが性能に比べて価格が高く、重く厚くて使い難いこと。対象とする電磁波の周波数に合わせて、吸収材料の組成や粒子サイズ、バインダーへの混合比などを調整する必要が有ります。

[シールド方式]

 電磁波は、空間インピーダンスが不連続なところで反射をします。シールドとは、この空間インピーダンスの不整合を利用し、空間が377Ωなのに対して、ほぼ0Ωの金属などの物体で電磁波を受けたくない空間や物を覆うものです。電磁波が導電性の板に突き当たると、空間インピーダンスはこの板の導電率が低ければ空間インピーダンスは小さくなり、シールド性能は良くなります。しかし、導電性の布やカーテンがシールドとして使われた場合は、導電率すなわち空間インピーダンスは0にならないため、シールド効果は低下してしまうわけです。
 また、シールドは空間インピーダンスの不連続面を使うので、シールドに使うカーテンや金属をアースしておいても、効果は変わりません。

 空間インピーダンスの不連続面を作るシールド効果により到来した電磁波は反射をしますが、付近に誘電率が高い物質があれば、そちらへ引き寄せられます。これは、シールドエプロンやシールド腹帯で電磁波を防ごうとしても、端の部分から反射された電磁波までが身体に浸透することを意味します。
 導電性のカーテンや金属板を使ったシールドの場合、シールドに隙間があれば浸透します。偏波面と同じ向きで、波長の2分の1以上の細い隙間が有ると、結果的に電磁波はその隙間を通り抜けることになり、シールド効果は大幅に低下します。
 つまり、携帯電話の使うUHF帯の電磁波の波長は30cm程度ですから、カーテンに縦の隙間が有ると基地局の電磁波はここをすり抜けることになります。風でカーテンがゆれたら、シールド効果はゼロになります。

[アンテナ吸収方式]

 アンテナ吸収方式とは、対象とする電磁波の周波数に共振するアンテナの給電点で電磁波のエネルギーを熱に変えて吸収します。但し、アンテナが対象とする電磁波と共振するには、波長に近い大きさが必要である上に、広い周波数帯域を一つのアンテナでカバーするのは困難です。その上に到来電磁波の偏波面に合わせたアンテナの配置も必要です。
 ダイポールアンテナは、形状が簡単でアンテナの標準となります。しかし、携帯電話が使う周波数帯域を全てカバーするには、長さを変えて何本も必要です。形帯電話用であれば、少なくとも全長15cmと7.5cmの2つを、偏波面にあわせてそれぞれを直交させて配置することになります。アンテナ方式だけは偏波面とアンテナの向きを合わせる必要が有り、この様な対処が必要になります。

 アイ・ピピが使うクローバー型のアンテナは、クローバー形状の周囲の長さが波長程度であり、アイ・ピピのように妊婦のお腹に密着して使う近傍界条件では、広い周波数帯域で電磁波を吸収する特性が有ります。2つのアンテナ素子が直交する形状で、偏波面の変化に対処します。

 アイ・ピピは電磁波吸収方式に匹敵する性能で、薄く、軽く、しなやかなアンテナ方式のシールです。

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