羽根邦夫Blog

”工学博士、電磁波対策製品WAVESAFE発明者のブログ”

EVの出す炭酸ガスをエンジン車と比べる

 EV(電池で動く自動車)は、自動車製造に関わる世界の企業に対して大きな影響力を持ちます。これはEVが見かけは簡単に作れ、環境に優しい車の様に見えるからです。しかし、専門家を含めた多くの経営者、そして政治家がEVの環境面について正しい知識が無いために、国の根幹となる事業をミスリードしようとしています。
 ミスリードとは、気候温暖化の原因が大気中の炭酸ガスであり、温暖化を防ぐためには炭酸ガスを出す自動車を無くして、自動車をEVにすれば良い、という短絡的な考え方です。実際にはEVを増やせばかえってCO2が増えることをこれからお話しします。
 EVの基本技術は、電池とモーターと車台が有れば良い、という小学生でも作れる低レベルなものです。EVに対抗するのはガソリン、軽油、会うコールを燃料とする内燃エンジンを使うエンジン車CVです。ここでのCVは乗用車からトラック、バスまで、全てをひっくるめたエンジンを使う自動車です。
 CVは燃料に炭素Cと水素Hの化合物の炭化水素を使い、燃焼すると水とCO2を出します。日本の場合、石油から出すCO2の2割弱がCVです。次に、発電が4割、産業が2.5割です。EVは充電によって、4割の発電由来のCO2の一部を出すことになります。
 EVは発電所が発電した電気を電池に移して(充電と呼びます)走ります。このため、CO2排出量は、EVが普及している国では発電由来が増え、CV由来が減ります。逆も有ります。大胆にまとめれば、電気が全て火力で発電されているとすれば、CVとEVは、同じだけのCO2を出すことになります。
 従って、日本でEVが普及しても、原子力と水力と太陽光・風力の発電量が大した割合では無いので、このCO2を同量出す法則によって、国全体のCO2排出量は変わりません。原子力発電の多いフランス、水力発電の多いノルウェーとスイスを除き、大部分の先進国がこれに当てはまり、いくらEVを増やしても期待するほどCO2排出量は減りません。
 こんな仮定は成り立たないとお考えかも知れませんが、最近の自動車エンジンは排気ガス規制と燃費改善のために、燃料の消費効率は理論値近くにまで達しています。この結果、CVのエネルギー効率は、新型の火力発電所+送電系の燃費効率と競うほどになっています。

 話しを元に戻して、問題は、CO2排出量の多い中国、アメリカ、インドは合計で全地球の50.2%を排出しており、効率の悪い火力発電をしています。従って、CVを減らしてEVを増やすほどこれらの国々のCO2排出量は増えることになります。結局、脱炭素のためのEV化は地球にとって効果が無く、逆効果になる危険も有ります。
 EVは使用上の問題も有りますが、これについては別のブログでお話をします。

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