羽根邦夫Blog

”工学博士、電磁波対策製品WAVESAFE発明者のブログ”

老々介護の共助はシェアハウスで  (新日本2100計画 18)

 老々介護は、元気な高齢者が同年代のお世話が必要な高齢者を助けることです。老々介護をする理由は、これまでのブログで説明をしてきましたが、出生率を増やして2100年には人口4千万人で平衡状態にするためです。今回は、老々介護の具体策としてのシェアハウスの提案です。
 75歳以上の戦中から戦後しばらくの間に生まれた高齢者は、物が無い時代に育ったので不便に耐えることができます。シェアハウスは、自分たちで郊外に小屋を建て村を作り、若者たちに面倒をかけずに自助と共助で生活をすることです。
シェアハウスに移住することは、具体的な終活作業です。多くの介護を受ける方やお世話する介護人は、それぞれに自分の家を持っているか、お子さんとご一緒、あるいはご夫婦で暮らしているでしょう。家族と一緒ならば家を維持できますが、一人住まいになれば持て余すことになるかもしれません。家がゴミ屋敷になるか、遺産相続で泥沼になるかもしれません。
 80歳近くになり、これまでの生活に区切りを付けて残された家族に良い思い出を残すのは、元気なうちにしかできません。シェアハウスに移り住むことは終活に取り掛かることであり、不用品を整理し、遺産争いが起きない様にしておくことです。
 それでも、最期は子供や孫に看取られたい、とご希望の方はシェアハウスを出て特別養護老人ホーム、あるいは有料老人ホームに移って、最期を過ごされるのが良いでしょう。

 ここで提案するシェアハウスは高齢者専用で、同一敷地内に10軒ほどの5、6坪の戸建ての小屋に一人住まいします。健常な人も介護を受けるも個別に住み、自助あるいは共助の日常を、隣人とは適度な関りを持ちながら過ごします。小屋は不必要な機能が無く、食と住の機能を持つ自立した家です。居住者は食事の支度や家事などをできる限り自分で行い、要支援、要介護の高齢者は必要であれば介護人が助けます。
 ちなみに、現在、都心と周辺地域にある老人用のシェアルームは、病院の病室と同じです。寝るだけの部屋に介護を受ける人が住み、食事や入浴、掃除洗濯などは若者の労働力を使うサービス付き老人ホームであり、ここで提案するシェアハウスとは違います。
 シェアハウス造りには土地代が安いことが第1条件です。図の様に、約10軒の小屋群が数km圏内に多数集まって一つの地域で500人の規模を作ります。この中で介護を受ける要介護2級以下は150~200人で、残りが介護人となって共助をします。
 この規模のグループが幾つか集まれば、医療やケアマネージャー、などの生活に必要なサービス業への仕事量が確保できます。今後の人口減少で過疎の地域がさらに増えるので、用地に困ることは無いでしょう。過疎化で高齢者しか住まない村を再生することにもなります。
 生活用品の購入は通信販売が、医療サービスは遠隔診療が、それぞれインターネットを使って行えます。復活するのが、御用聞きによる、食材や生活必需品の配達と安全確認です。それでも、病院やスーパーと戸口の間をつなぐ交通手段が必要なので、乗り合いタクシーとバス数台を用意します。訪問医師がかかりつけ医となり、複数人の歯科医師と何人かの看護師やリハビリのトレーナーの巡回も欲しいです。地域内の500人には色々な経験と知識を持つ方が居るでしょうから、家の修理や改造、庭の手入れなどは、器用な高齢者が共助で済ませ、野菜類の自給自足もできます。
 最後は経費で、6坪弱の小屋を10軒まとめて作る時の土地代金は、共同購入の一人当たり40坪分の借地権の権利金が40万円です。各戸の建材はウッドショックで落ち着いていませんが40万円、整地と水道及び浄化槽の分担が30万円、確認申請と登記などで5万円(この額は今のところ分かりません)、金具や窓その他で合計約25万円、建築は器用な高齢者が協力して無償、全部の合計で150万円です。
 小屋を建てる時、確認申請には強度計算が必要です。500軒が建材や水場、出入り口や窓などを共通にして強度計算を1回で済ませば、強度計算のコストは皆で分割できて大した額にならず登記代だけで済みます。小屋は冷房の不要な高地に建て、日常生活に必要なキッチン、シャワーとトイレ、暖房設備、クローゼット、ロフトにはベッド、などがコンパクトにまとめられています。オーナーの希望と個性は内部の収納の位置などです。持ち主が亡くなれば内部をリフォームして、次の入居者が使います。
年間経費は借地料4万円、水道、浄化槽、ガスなどで年間10万円、医療費3万円、食費60万円程度、服飾、交通費等の諸雑費20万円で合計100万円、月額8.3万円程度となります。これ以外の出費も、地域内の協力で、食料、衣服、交通費などが割安になります。
 なお、厚生年金受給者の場合はこの出費であれば、生活ができるでしょう。しかし、国民年金受給者の場合、一人当たり月額約5.6万円で何らかの補填が必要となります。不足分は、被介護人の場合は介護給付金の支払い先が本人宛なので、出来る限り自立して給付金を残して頂き生活費にまわして頂きます。介護給付金が無い世話人の場合は、隣人の介護をして月額最大4.5万円の時給が受けられます。計算上はこれで何とかなりそうですが、介護給付金のフレキシブルな運用を認めることが根底に有ります。
 多くの高齢者は、終活無しで今のままの生活を続けると、やがては周囲や家族に迷惑をかけることになります。シェアハウスに一人住まいをすることは、精神的な自立であり不要な品物とは縁を切って身軽になることです。そして最も大切なことは、若者をもっと生きがのある生活に向けて開放し、人口の減少を止めることになるのです。

 西暦2100年の人口減少に向けて、何をしたらよいのかを18回に分けて提案をしてきました。今回で個のシリーズを終了いたします。お読み頂き有難うございました。
 細切れなので、説明不足や重複などがあり、宗教や国際間の問題など書けなかったことも有ります。今後、数か月かけてこれらを1冊にまとめて上梓しようと思います。それまで、技術的なテーマでブログを出しますので、どうぞお楽しみにしていて下さい。

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