羽根邦夫Blog

”工学博士、電磁波対策製品WAVESAFE発明者のブログ”

プラスティックごみ

プラスティックごみが大きな環境問題になっています。それは、プラスティックの表面は化学物質の吸着性が強く、農薬や環境ホルモンなどの有毒な有機物を付着させて、濃縮します。次に、プラスティックは太陽光で分解されて粉々になります。粉々になったプラスティックは、表面に化学物質を付けて生物の体内に取り込まれます。最終的に食物連鎖で化学物質が私たちの体内にも入って来ることが、プラスティックごみの問題なのです。

捨てられたPETボトルやレジ袋、あるいはプラスティックのコップやストロー、ポイ捨てタバコのフィルターなどは、地表や海岸で太陽光を浴びたり、砂にすりつぶされたりしてマイクロ化します。この時、元のプラスティックがn個に砕かれると、表面積はn倍になります。ペットボトル1個の重さは約25グラムなので、これが5マイクログラムに分解されると、5百万個になります。つまり、表面積は5百万倍になります。
考えてみて下さい。1個のPETボトルが倉庫一杯のボトルと同じ表面積になるのです。このマイクロ化して表面積が増えることで、吸着する化学物質の量が大幅に増える事が第1の問題です。現に、BBCニュースの日本語ネット版は8月15日に、北極圏の雪1リットルに1万個以上のマイクロプラスティックが混ざっている、と記しました。世界中にこの汚染が広がっています。
第2は、これらのマイクロプラスティックは、微生物に取り込まれ、次に小海老や小魚に食べられても消化されずに体内にとどまり、順次上位の生物で濃縮されます。マイクロプラスティックは、これ等の生物の体内で吸着した化学物質を少しだけ放出し、生物の生態バランスを狂わせます。

化学物質を吸着したマイクロプラスティックを体内に取り込む量が大きい食品は何でしょう。化学物質は油性の場合が多いので、プラスティックから解離した化学物質は、多くが魚の脂質に含まれるでしょう。また、マイクロプラスティックは小さな魚や甲殻類の消化器内に消化されずにとどまっています。私たちは、大型の魚類の脂の部分と、アミやシラスなどの小魚類を食べることが、化学物質を体内に取り込むことになると思います。
マイクロプラスティックは海の魚だけでは有りません。PM2.5レベルまで小さくなると、空気中に長時間浮遊します。風によって粉塵と共に農作物や身近な物の表面に付着し、水道水に紛れ込み、牛や豚や鶏の飼料にも付いています。つまり、私たちの周りは全てマイクロプラスティック汚染されています。これほど小さくなると、肺に入れば細胞膜を通り抜ける事ができて、細胞の中に入り込んで化学物質を放出します。
マイクロプラスティックによる化学物質汚染は、今のところは野菜の残留農薬や有機金属汚染に比べれば少ないかもしれませんが、体内への侵入経路が違うことなどから減らす方が良いに決まっています。

大気に晒されたマイクロプラスティックは最終的に紫外線で分解されて消滅しますが、水中や地中のプラスティックは紫外線を浴びず壊れません。さらに、次々に生まれてくるので、マイクロプラスティックは環境に増え続けています。私たちは、自然界に放り出されたプラスティック類を回収し、始末しなければなりません。レジ袋が風に舞っていたら、取り押さえましょう。PETボトルが落ちていたら自販機の横にある回収箱に、使ったプラスティック類は再利用や焼却される様に始末し、そして何よりもプラスティック類の使用を控えましょう。

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