羽根邦夫Blog

”工学博士、電磁波対策製品WAVESAFE発明者のブログ”

新幹線と凧

電車の遅延は、多数の人に迷惑をかけることであり、起こさないように気を付けなければなりません。ましてや、痴漢が線路に飛び降りて逃げたために、線路内に人がいないことを確認できるまで、電車を止めて待たせるようなことは許されることではありません。

東京では、最近は2つあるいは3つの路線を接続した長距離の線路が増えています。隣の県から東京を越えて隣や、またその隣の県まで行く経路があるため、長い線路のどこかで事故が起きると全体が遅延して、影響を受ける人の数はすぐに何千人となります。

特に、日本の鉄道の表看板を背負っている新幹線は、事故とそれによる遅延が起きないように関係者は神経を使っています。それでも、2017年5月18日九州新幹線で架線に黒い袋が引っかかったため、運休と9本が1時間の遅れで、2,000人が影響を受けました。架線とは新幹線に電力を供給する空中の電線の事です。余談ですが、東海道新幹線の最新型のN700S型では1本で1,323席に達しており、事故時の九州新幹線の乗車数が少ないことが、少し気になりますが。

工学部運動会

私が昭和45年に大学の助手になってからしばらくの時に、学部長から「工学部の学生運動会を企画し実行せよ」とのご指示を受けました。当時は、工学部の教養課程の学生が、学生運動の名残の活動家たちのストの影響を受け、何かと授業の進みが悪かったからです。工学部2年の教養課程には学生実験と言う難関が有り、欠席者の為の予備日の救済は有りましたが、欠席日数が多いと単位不足で落第となります。実験を含めて大半が必修科目の工学部は、他学部よりも進級の努力をする必要が有り、学校側としてもイベントを行って学生を引き寄せる策を講じた訳です。学生実験で生徒に直接接している私なら、学生の信頼を得やすいからだったのでしょう。

慶應義塾工学部は、神奈川県港北区の日吉にあり、日吉駅前の教養課程のキャンパスに対して専門課程のキャンパスは谷を隔てた矢上台という丘の上にあります。今でもそうですが、西側が教室・研究棟で、東側がグラウンドです。このグラウンドの下にトンネルを掘って新幹線が通っています。このトンネルは東京を出て最初のトンネルです。多摩川を渡り武蔵小杉の左カーブを過ぎて直線で加速をして、トンネルには時速200kmくらいで入るでしょう。注意していないとあっという間に過ぎるトンネルです。運動会は、この新幹線の上にあるグラウンドで行いました。

架線に凧が引っかかった!

工学部の運動会のプログラムは、研究室やクラス有志がチームを作るサッカーやソフトボールなどの球技もあり、運動会の前からリーグ戦が行われ、学部長からのビール券の賞品も有りました。その他にも競技が有りましたが、競技の中に凧揚げが有りました。参加者は、手作りの凧を持って来て凧揚げをしていました。何をもって評価をしたかは覚えていませんが。

凧揚げはのどかなものですが、上空の乱れの無い安定した風を受けられるまでの、最初が難しいものです。特に矢上台のグラウンドは台地なので、丘を越えてから下降気流になるので難しいのです。この下降気流に吹き降ろされたアンドン型の凧が新幹線の架線に引っかかってしまいました。

事務職の方に、新幹線の運航管理室に架線に凧が引っかかった、ことを伝えてほしい、とお願いしている間も無く新幹線がやって来て凧をばらばらにして通過してしまいました。細い木の棒と、紙と糸の凧ですから、電気的にも事故は起きないとは思いますが、その時は「新幹線・列車妨害」の文字が頭を横切りました。電話連絡は事後になってしまいましたが、鉄道側も気にしていなかったとのことでした。「凧程度で新幹線は遅れません」との理解だったのでしょう。

今、同じことをしたらどうなのでしょう。きっと、何か有ったらどうするのだ、という人が出るでしょう。東海道新幹線の昼間の場合、電車を止めて、送電を止めて、はしごを持って来て凧を撤去する。新幹線は2万5千ボルトですから、上下両方の送電を止めます。準備と作業と撤去で1時間かかると、上下合わせ約20本が止まり、軽く数万人が影響を受けます。あの時はおたおたしている間に列車が来てしまいましたが、新幹線を止めないで放っておいても凧が壊れるだけ、が理性的に正しい判断でした。

電磁波問題

電磁波問題も同じことです。ある機器の発する電磁波が危険か否か、科学的に電磁波の特徴を把握して医学的な障害を及ぼすか否かを吟味したうえで、判断しなければなりません。医学的な障害については、動物実験と細胞を使った実験が有ります。また、傷害を受けた人と受けなかった人々に対して統計的な比較を行う疫学調査も有ります。疫学調査は、具体的な罹患率も分かるので、現状では最も信用できる医学的な手段です。たとえ、科学的に影響が有るはずが無い、としても現実に障害が起きていれば、それは危険です。疫学的な調査結果とはそういうものです。

人体に対する電磁波の影響、は科学者たちに最初は否定されました。水俣病も最初は、無機水銀が人体に影響するわけがない、として科学者たちに否定されました。しかし、環境調査をすることで無機水銀が有機水源に変わっていることが分かり、以後の流れが変わりました。電磁波も最初は無害とされましたが、軍事研究の中でその危険性が明らかになりました。今では、脳腫瘍や白血病、化学物質過敏症患者の発作原因の一つとして、最近は発達障害や認知症なども挙げられています。やはり電磁波は危険なのです、ただし、傷害を及ぼすのは限られた条件の周波数だけで、それ以外での周波数の電磁波による影響の報告は有りません。放っておける場合と放っておいてはいけない電磁波があるのです。詳しくは次回にしましょう。

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