スマートグリッドとスマートメーターの電磁波について
スマートグリッドという名称は、2005年EU委員会が発表した技術開発計画に初めて用いられ、その後アメリカのオバマ政権が環境政策の柱の一つとして位置づけたことで注目を集めました。グリッドとは、発電所と消費地を結ぶ送配電線とが網の目(グリッド)の様になっているからです。この電力系統(グリッド)を効率的に運用するのがスマートグリッドです。
スマートグリッドとは、(1)風力や太陽光などの再生可能エネルギーの電力供給網への接続、(2)電気自動車の導入を促進、(3)消費側への電力量計(スマートメーター)の設置と活用、(4)送配電網の近代化、のいずれかの要素が含まれた、電力系統の概念です。技術的には、火力、水力、自然、原子力などの発電の特徴を踏まえた発電と消費の連携を行うものです。
日本では、この世界的な動きと、(1)の不安定な風力と太陽光発電の大規模な導入目標が策定され、これを組み込んだスマートグリッドの普及と拡大が2009年に資源エネルギー庁によって開始されました。対象地域として、横浜市、愛知県豊田市、関西文化学術研究都市および北九州市の4地域でスマートグリッドの実証研究が実施され、一般家庭には電力使用量をほぼリアルタイムで電力会社に通知するスマートメーターが導入されました。
すなわち、スマートグリッドとは、自然エネルギーの利用と送電と消費を最適化するもので、電力系のロスを低減することで炭酸ガスの排出量を減らし、地球の温暖化を防ぐものです。このシステムの中で、スマートメーターはリアルタイムの消費状況を測定し、発電と送電への制御情報を与える大切な要素です。私達消費者にとってのスマートグリッドのメリットは、電気料金を安くすることと、地球温暖化を遅らせることです。
スマートメーター
スマートメーターは30分ごとに各家庭が使った電気量と電力使用状況を電力会社に伝えます。ガス、そして将来は水道もスマート化される予定ですが、これらは検針の人件費削減が目的でしょう。
スマートメーターが発する電磁波で一番身体に影響するのは、使用する電力に比例する電力計から漏洩する50Hzの磁界ですが、電力計が従来のアナログ式からデジタル式に換わったことで、漏洩磁界は小さくなったでしょう。次が30分に1回の920MHzの電磁波です。次いでデジタル式の電力計と通信機に電力を供給するスイッチングレギュレータからの数10kHの低周波磁界です。これは携帯電話に使われている電源用スイッチングレギュレータの10分の1程度です。さらに、デジタル電力計の電流値をデジタル値に変換するアナログ-デジタル(AD)変換器がありますが、この回路が出す電磁波は動作時の電子体温計程度でしょう。これらをまとめると、機器が屋外に設置されることもあって、室内に達する電磁波は非常に弱く、固定電話器よりも弱い電磁波です。
スマートメーターが出す電磁波と通信方式は、いずれ説明をします。