光の話その1(アインシュタインと電磁波)
光は電磁波です。光が当たると暖かく感じることと、プリズムで太陽光が赤から紫まで色が分かれます。この2つは光が電磁波であることの証拠で、前者は光がエネルギーであることを、後者は光に周波数があることを、それぞれ示しているからです。それは、 電磁波が空間を飛んでくるエネルギーの塊で、エネルギーの大きさが周波数に比例している、からです。
このふたつは、アインシュタインのノーベル賞論文となった、「光電効果の法則の発見等」の論文に含まれています。アインシュタインといえば相対性理論と思う方が多いと思いますが、科学的には相対性理論は物理学の基本で、光電効果は工学の応用分野の一つです。なぜ、こちらが、という話には当時の人種問題が絡む説が有りますが、これには触れません。いずれにせよ、受賞には十分な学問的な功績です。
光電効果は、E=hνの式で表され、光(電磁波)のエネルギーEは、比例定数hと電磁波の振動数(周波数)νの積である、として示されます。これは、太陽電池とCCDカメラ素子が動作する、光によって半導体中に電子が発生すると言う物理現象の原理そのものです。
注意する点は、電磁波が波動であり、エネルギーと周波数が比例する、であり、波であることから、回折や屈折などの現象が説明できます。しかし、波であれば広がりが有るはずだが、一点に集中していなければならない現象が有る、ことが古典物理学では説明できませんでした。
これに対して、光は粒の性質も持つ、とする説、すなわち光量子説、がアインシュタインの光電効果の大切な点です。これにより、ガンマ線の領域から赤外線や通信用の低い周波数の電波の領域まで、電磁波として説明ができる様になりました。光量子は後にギルバートルイスによって光子Photonと呼ばれる様になりました。
粒の性質は、エックス線やガンマ線に顕著に現れ、紫外線や可視光線でもエネルギーの塊として、レントゲン写真やCCD素子にその効果を見せます。一方、半導体素子を作る際の数ナノメートルの加工の際に、波長の短い軟エックス線領域で波の性質を使われることも有ります。
次回は色についてのお話をします。