光の話その3 (視物質と電磁波)
視物質は、動物の視細胞の中にある、光のエネルギーで変性して電子を放出するたんぱく質です。視物質の内で、変性するエネルギーが最も低い赤用は550nmをピークとし、緑用と青用はそれぞれ530nmと420nmで、これ等の視物質はそれぞれ網膜上の錐体細胞に分布しています。
視物質を変性する光のエネルギーは1.8eV~3.3eVで、このエネルギーは蛋白室の分子間結合を切るには十分なエネルギーで、言って見ると網膜は年がら年中光を浴びて日焼けをしている、と言えます。視細胞中の視物質はビタミンAで回復し、次の光を受けることができます。
従って、視細胞は人体の中で最もビタミンAを消費します。昔から鳥目にヤツメウナギ、といわれています。これは、鳥は夜目が見えないので、昔は夜目が見えなくなることを鳥目と呼び、ビタミンAを多く含むウナギ類に薬効が有ることを知っていたからです。今は鳥目になる人はあまりいないと思いますが、視力を保つにはビタミンAが大切なことは覚えておきましょう。
視細胞にはもう一つ、暗い時に働く桿体細胞が有ります。上の図に示す様に、桿体細胞にある視物質は錐体細胞とは違う498nmにピークを持っており、そのピークは錐体細胞の400nmと538nmの間に挟まります。桿体細胞は、この光による視物質信号を脳に対して、色の情報としては伝えず、単に明るさとしてだけ伝えます。この波長は、太陽光のピーク部分に一致しており、原始時代の人類は暗くなった時に最後に残っている光でも見えるように、暗い所での視力として役立てたのでしょう。