羽根邦夫Blog

”工学博士、電磁波対策製品WAVESAFE発明者のブログ”

世界最大のロケット、スターシップの爆発をイーロン・マスクは失敗と思っていない

 4月20日スペースX社は、スターシップという世界最大のロケットを打ち上げました。大袈裟な名前の通りに、大きさは左端のスペースシャトルの約2倍で重量は5.2倍有り、アポロを月まで打ち上げたサターンVの2倍の推力を持ち、低軌道であれば100トンの人工衛星を打ち上げることが出来ます。今後、このスターシップを使って、イーロン・マスク氏は遠大な情報事業計画を実行するでしょう。彼は怪物ですが、傑物です。

 それでも、1度に100トンを衛星軌道に乗せる様なニーズが民間企業に十分に有るとは思えません。にもかかわらず、スターシップに莫大な投資を行います。今後、スペースX社はまず無人のスターシップを使って、ブロードバンド・インターネット用のスタ―リンク衛星を現在の数千個からさらに数千個打上げ、ロケットの信頼性を獲得した後に有人打ち上げを行う予定とのことです。私はスターシップの真の目的は、このスターリンク衛星の打ち上げ用だと思っています。
 今後、NASAはスターシップを月面着陸に使いたい、とのことです。NASAは、サターンVの2倍の推力のロケットの力で、アポロの3人乗りに対して4、5人乗宇宙船を月面に送る出でしょう。今から半世紀以上前の1969年に月面に2人を送り込んだ、米国とNASAの素晴らしい力を、今度は官民協力で見せてくれることでしょう。

 今回の打ち上げでは、残念ながらスターシップは上昇中に爆発しました。右の写真は無事に発射台を離れて上昇中の写真ですが、矢印で示す第1段の33基のロケットエンジンの内で、動作しているのは小円で示される30個のエンジンです。写真は、打ち上げ20秒後の状況で、すでに3基が故障しています。
 さらに、打ち上げから3分後エンジン6基が故障し、スターシップは2段目を切り離すことが出来ず、4分後に自爆しました。これに対して、スターシップを打ち上げたスペースX社は、発射台から離れることが今回の目的で、発射台を壊さずに4分間も飛べば充分に成功だ、とのことです。
 この、ここまでできれば成功でそれ以降は期待していない、にも拘らず打上げてしまう、と言う開発思想には感心します。日本であればマスコミが「失敗だ、失敗だ!」と大騒ぎをして、開発の足を引っ張るでしょう。しかし、スペースX社は民間企業なので、失敗を気にすること無しに大胆に成功する方法を開発し、開発速度を大幅に速くできます。
 スターシップは、イーロン・マスク氏の遠大な事業の一環です。これまでに氏は、電気自動車のテスラで大儲けをしてから、スペースX社の立ち上げ資金源とし、スターリンクで衛星通信事業を開始し、ツイッター社を買収し、OpenAI社でChatGPTを手掛けており、これらの企業のCEOとして世界の最先端企業を経営しています。この様な事業のラインナップを視ると、スターシップのテストと称する数千基のスターリンク通信衛星を低軌道に打ち上げることがスターシップの本当の目的で、その後のNASAの月面着陸や火星行きは余禄ではないかと思います。
 イーロン・マスクがスターリンクを重視するのは、スターリンクが戦争や事故に強い高速インターネットのインフラだからです。スターリンクはウクライナ戦争で実用性が実証され、その信頼性が確認されています。これと並列で、ツイッターとChatGPTがインターネット・アプリとして、情報流通の有力ツールであることを実証中です。このことから、イーロン・マスクは、情報流通事業のインフラとアプリを支配しようとしているのではないでしょうか。
 幸いにも、氏は共和党支持でリベラリストでは無いので、LINEやTiktokの様に情報が国外へ漏れる危険は無く、私達も安心して使用できます。さらに今後、彼が手を出すであろうコンテンツビジネスには、大いに期待をしたいです。 
 もう一つ余談ですが、テスラ社はEVの大幅値下げをして世界中の、特に中国のEV自動車製造企業に大ダメージを与えています。イーロン・マスクは、EVは情報産業へ参入するための資金源になっていたが、そろそろどこかのオッチョコチョイにEV事業を売り払っても良い。EVが温暖化を防ぐと言うのは、他人が勝手に言っていることで、本人は気にしていないのでは、と思います。

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