羽根邦夫Blog

”工学博士、電磁波対策製品WAVESAFE発明者のブログ”

脱炭素でエントロピー増大は鎮まらない

 地球温暖化を鎮めるために、温暖化の原因はCO2やメタン、フレオン等の温室効果を持つガス類(以後まとめて温暖化ガスと呼びます)の自然界への放出であるから、放出するのをやめるべきとする意見が有ります。この意見はまとめて脱炭素と呼ばれ、これを表明する人々は温暖化現象の科学的な検証は行わず、神の啓示の様にとらえて脱炭素運動を宗教としています。
 それでも、科学的事実として、近年大気中の温暖化ガスの量は増えており、大気の温度も上昇しています。しかし、彼等は大気中の温暖化ガスの量が毎年100万分の2増えただけで、絶対温度での気温は1万分の1上昇するとする、としています。彼等は、気温上昇のメカニズムを解明せずに温暖化ガスの影響を過大に評価しています。
 他方、温暖化論者が無視している大気中の水蒸気は、温暖化ガスよりも熱容量が大きく、液体の海水や固体の地表はさらに大きな熱容量です。さらに、何よりも巨大な熱源の太陽の活動との関係にもふれていません。この様に、温暖化ガス以上に気温へ影響する要素は多々あり、温暖化ガス原因説はバタフライ効果なみの科学性の無い論と言えます。
 表題のエントロピーを簡単に秩序、と呼びます。自然界ではエントロピーは常に増え続けています。エントロピー増大とは、秩序有るものから無秩序なものへ替わることです。石炭が燃えるとは、石炭表面の炭素原子が酸素と結合してCO2となってバラバラに空間に放出し、炭素原子のエントロピーは増大します。このエントロピーの増加で生まれる熱エネルギーを人間は利用しています。
 人間が活動してエネルギーを使うとことは、エントロピーの増大です。電気自動車EVを動かすとき、電池に充電する電力が火力発電で作られれば、化石燃料からCO2になって大気中に放散されてエントロピーは増大します。逆にCO2から炭素原子を取り出して石炭や石油にすることはエントロピーの減少ですが、反応には高温や高圧を必要として、ここまで含めば総合的にはエントロピーは増大します。
 つまり、脱炭素活動をエントロピーの視点から観れば、化学反応の1面だけしか見ていない非科学的作業です。太陽電池といえども、太陽からの光子エネルギーを半導体の中で電流に変換して電流として取り出す部品ですが、エネルギー源の太陽光がタダの様に見えますが、製造段階から観れば、エントロピー増大です。
 珪砂からシリコンを精製して半導体インゴットにし、これを真空中でPN接合と電極を創り込んだ太陽電池セルの製作、設置までに使うエネルギーの総和は、太陽電池の寿命の30年間で創るエネルギーは設置条件が悪ければ赤字となり、大半の太陽電池はダメです。もし黒字であれば、創り出したエネルギーは役に立ったことになるので良いでしょう。創り出されたエネルギーは熱や動力となって役立ちますが、結局は自然界に放散され、エントロピーは増大します。
 この様に、エントロピーは自然界では増大しか途が無く、これを発見したボルツマンは電気理論でも高名ですが、彼の墓の肖像の頭の上には S=k logW という熱現象の不可逆性を表す式を書き込んであります。ちなみに彼は自殺しましたが、原因は分りません。

 要するに、EVはCO2を出さない、太陽電池は無限のエネルギーを与えてくれる、ということはエントロピーが増大しているので誤りであり、エネルギーの浪費に過ぎません。
 太陽光の利用で無難なのは、日光浴で体を暖める時くらいでしょう。

Copyright © 2015-2021 Hane, Inc. & Beacon Associates, Inc.