自民党に代わる保守主義者のより所ができました
4月28日に行われた東京15区の衆議院補欠選挙は、前任の自民党議員が不祥事で退職した欠員を埋めるために行われたものです。当選した立憲民主党公認、共産党推薦の候補者の得票率は29%でした。一方、4位となった日本保守党(以後保守党と呼びます)の飯山陽(あかり)候補は14%の得票率でした。この二人にだれが投票したのか考えます。
まず、票の母体となる日本国民の政治意識を下に図示しました。極右と極左がごくわずか、その間にリベラルと保守が20%~30%ずつ、間に挟まれた約30%~50%が政治に興味が無い無党派層です。また、端に行くほど選挙の時の投票率が高く、中央は選挙には棄権します。
これとは別に、利害あるいは主義や宗教などで特定の政党を支持する、投票率の高い人達がいます。これらを政治思想に対する投票意欲の関係として図に加えました。図の横軸は右から左へ保守からリベラルまでの政治的な思想で、縦軸は今回の選挙での投票への意欲、点線は政治への関心度と投票する意欲を表し、ピークは、支持する政党を表します。
今回の有権者の支持政党を、NHKが出口調査しました。https://www.nhk.or.jp/shutoken/newsup/20240428a.html 質問は投票先では無くて支持政党です。これによれば、支持政党が立民11%、共産3%でしたが、このリベラル連合軍は当選した立憲共産党の候補の29%の内の14%でしょう。足りない分の15%は、自民党と公明党の支持者からの批判票が流れ込んだもので、これは2009年8月に民主党が政権を取った時を思わせます。
一方、飯田あかり候補の得票の14%は、これまでは自民党に投票していたコアな保守層が、自民党のLGBT法の成立や党内人事などに嫌気がさして保守党に投票したものでしょう。本来、自民党を支持するのは図の右側の40%であり、コアな保守層の20%はこの中にいました。
飯山候補の得票がこの20%に達しなかったのはたのは、得票率2位の元自民党の地元候補者が善戦したのと、保守党の政策の浸透には1カ月半の選挙期間中では時間が足りませんでした。これに加えて、新聞やTVというオールドメディアからは意識的に無視され、選挙妨害をビジネスとする党が現れるなど、選挙運動をスムースに行なえなかったこともあります。
それでも、飯山候補が短期間で集めた14%は、立憲と共産を合せた組織票の14%と同じでした。今回の選挙で、日本の保守陣営は一人でも立憲共産党に匹敵する、強力な人材を発掘したことになります。
保守党が勝てなかった理由はもう一つ有ります。それは、今回の選挙の投票率が異常に低い41%であり、浮動票と呼ばれる有権者が政治に嫌気がさして投票しなかったからです。この結果、組織票の効果が大きくなった上に、自民党支持者の批判票が立憲共産党の候補に流れこんだからです。もし浮動票が投票されれば、保守党は保守層の20%と浮動票の保守系部分の10~20%を得て合計30%となり、立憲共産党の20%に勝てたかもしれません。
この保守層内の分裂は、5月に入ってからの保守層が多く読む産経新聞での世論調査で明らかです。調査によれば、保守党は自民党に次ぐ支持者を集めて2位となり、保守系の国民の受け皿となっていたのです。保守党の誕生によって、2009年8月に民主党が政権を取った時は棄権していたコアな自民党支持者に、今後は投票先ができたことになります。この支持者のためには、保守党は次の目標として政党条件を満たすことです。今後どんな活動が必要かを次のブログで書きます。