カマラ・ハリス候補者の出してきた選挙公約がひどい
米国大統領選挙の民主党候補カマラ・ハリス副大統領が、消費者向けの各種補助金と減税及び医療費の徳政令、食料品の値上げ規制などをセットにした、消費者支援に絞ったシンプルな経済公約を発表しました。結論から言えば、この政策はインフレを悪化するだけの素人政策であり、マスコミはこの政策の分析と悪影響の予測を取り上げていません。
そもそも米国民主党は左翼リベラル思想で、大きな政府で予算をジャブジャブ使ったエスタブリッシュメント優遇と戦争で利益を得る政策です。今回の選挙公約は金融業や、住宅産業、医療業界などへの優遇政策で、経済学の簡単な基本にさえ反するポピュリズム政策です。
現在、米国はインフレの真っ最中で生活感覚は日本の2倍~3倍に達しており、インフレの解決と庶民の生活の安定化が選挙の最大の争点のはずです。元大蔵省、嘉悦大学教授の高橋洋一教授の言によれば、インフレを解消するのは、購買力を下げるために流通する資金を絞り、供給力を上げるために市場への商品の供給量を増やす政策を実施することです。
しかし、ハリス政策の補助金バラマキと減税は市場への購買資金の供給であり、商品供給への考慮が無く、単純なデフレを抑制しインフレを助長する政策です。さらに、公約では外交問題や他の国内問題には触れていません。加えて、ハリスが踏襲するバイデン・ハリスの国内政策の最優先政策の移民の優遇は、雇用と治安の悪化の原因です。また、バイデン・ハリスの脱炭素のための国内石油の生産禁止とEVの支援は、ガソリン価格とエネルギーコストを上昇させるインフレの大きな原因です。
そんなわけで、トランプ候補はハリスと逆の政策を提案すればよく、初期の選挙集会中に聴衆からのインフレ抑制策を尋ねられた時の答えが。「ドリル、ベイビー、ドリル」でした。ドリルとは脱炭素で止められている石油生産を再開するという意味で、経済全体への低価格のエネルギー供給による製品価格を下げる基本的な対策であり、インフレを鎮めることができます。
これまで民主党陣営はマスコミと組んで、ハリス立候補初期のハネムーン効果を伸ばすために諸政策をハリスに語らせず、家族紹介やゴシップ程度の話題と笑っている写真だけを発表してきました。しかし、ハネムーン期間もそろそろ終わりを告げてきたのあで、初めて経済政策を発表したわけです。9月10日に予定されるPresidential Debate(大統領候補討論会)では、対インフレと経済政策以外にも移民と外交、などが討論されるので、その効果を観るつもりでしょう。
予定している経済政策は全て失敗の可能性が大で、補助金ジャブジャブが正しいインフレ対策では無いこと、移民優遇が物価上昇と雇用の悪化と治安の悪化を生じていること、外交はアフガン撤退の失敗とウクライナとイスラエルへの過度の支援が戦争をながびかせていること、などの悪手です。いずれの議題もトランプの政策が優れており、ハリスが頼れるのはマスコミの支援と黒人で女性であることで、大統領の職務に必要なことではありません。
それでも民主党がハリスを担ぐのは、まず人材不足であることと、副大統領候補のワルツと共に若い時に共産主義に染まってから精神的成長をしていないので、「神輿は軽くて自立していない方が良い」の条件にぴったりなのでしょう。
9月10日の討論会では正しい政策と臨機応変の論戦をして欲しいものですが、会場ではハリスには助けが無く、政策も負けています。トランプは元TV番組の司会者であり百戦錬磨の実業家です。笑うしか能が無いハリスが勝つことは難しく、正にハリスさん、笑っている場合では有りませんよ、です。討論会はABC局が行うことになっていますが、ABCを使うとバイデンジャンプや数の合わない郵便投票などの前歴の有る民主党政権とマスコミのことですから、どんな仕掛けでハリスが優位になるか分かりません。
願わくば、不正な手段を使う論争が行われないことを祈ります。