トランプ大統領の鎖国政策
ドナルド・トランプ大統領(以下トランプと略)は、就任以来大車輪で米国の政治と経済の改革を進めています。彼の政策に反対の方もいますが、応援をしていた私としては、ここでは彼の政策に楽観的な見方をします。
私は、TVを観ず、新聞は朝毎東と共の記事を読まず、ロイター、BBC、ウォールストリート・ジャーナルなどの左派系マスコミの記事には、どこに彼等の先入観が入っているかを探し出す作業をする中で真実を推理して、メディアからの影響を防いでいます。
さて、トランプの経済政策は、オーソドックスに国内資産の活用と国内産業の活性化です。民主党と逆に対外貿易の縮小を覚悟し、必要な物資だけは輸入してドルの流出を防ぎ、ドルの価値を上げます。言ってみれば、江戸幕府の鎖国政策の米国版です。さらに、自国用の軍備費を増額し、対外的な軍事支援を極端に減らすと共に海外駐留の米軍を減らし、NATOにはGDP比5%、日本には3%の防衛予算を要求して、自国の防衛を促します。
早速に行う脱脱炭素は、民主党政権が行った国内産業の弱体化の原因を断つ要となる政策です。国内石油の採掘と供給の再開は、エネルギーコストを下げて国内産業の競争力を増し、これによる低価格化と増産はインフレを抑えます。EVへの補助金の廃止は、基幹産業の自動車業界への中国製EVの攻撃を防ぐ、これも一種の鎖国政策です。元々EVを買っていたのは民主党支持の高所得で意識高い系の人々なので、共和党支持の低所得の労働者への影響は有りません。
輸入税の増額は、外国製品の国内流入を防ぐ障壁となりますが、替わりの低価格国産品が必要です。元々国産品は値段が高いから輸入品が市場を占拠していたのであり、国産品の製造費を下げ製造量を増やすことが必要です。これにはエネルギーコストの低下だけでなく、生産者への奨励金と製品への補助金で手当します。これら補助金の資金源には、最初は増額した関税から、もう一つは年間数兆円を超えるウクライナ支援と中東での支援で使う軍需産業への出費から行います。国内の平和産業への投資に切り替えれば、政府からの出資は増えず国内産業を育成して雇用も増やします。
戦争が無くなって収入が大幅に減る軍需企業には、NATOや日本、韓国に防衛費を増やさせて仕事と収入を与えれば、これらの企業は民主党の戦争政策に頼らなくても済み、共和党の言うことを聞くようになります。この外国への防衛費増額のおどし、ウクライナ出費の削減、中国製品への関税など、トランプは他人のふんどしで国内企業を育成し、コントロールするわけです。
これまでは国内産業の保護と育成でしたが、逃げ道の無いマスコミと医薬品業界には冬の季節となるでしょう。電波や紙メディアを使うTVと新聞などのマスコミは、視聴者を追ってインターネット事業も開始していますが、大部分はこの新メディアのスピードに合わせられず、しかも内容が陳腐なゴシップと偏向した政治情報では、大半が淘汰されます。
医薬品業界は開発や製造の補助金や許認可などには政治力が必要で、政権与党の助けが無くては生き残れない体質です。しかし、トランプが指名しているロバート・ケネディJr保健福祉長官によって、ワクチンや薬品の質の評価に厳しく、これ等への補助や認可には政治的な協力をせず、かつ製薬会社の製造責任免除を撤廃しようとしています。トランプ政権下では民主党時代の様ないい加減な経営はできないでしょう。
一方、IT業界のGAFAMはこれまでは民主党に有利な情報操作を行い、代償として多額の寄付をしてきました。しかしトランプ時代になって、全社がトランプ大統領側に寝返ってイーロン・マスクに従ったため、民主党は寄付金が大幅に減ります。それでも、IT業界は伝統的に二股外交なので民主党への寄付をゼロにせず、そこそこは残して破産させることは無いでしょう。トランプさんは、民主党が生き残る余地を残すようです。
この様な、トランプと共和党が米国の国内経済から中国製品を取り除いて、流通の再配分を行えるのは米国の持つ潜在的な産業力が大きいからです。つまり、石油や食料などの1次資源が豊かで、税収の規模が大きく、余剰人口が多いことで産業構造の変更が可能だからです。
こんな荒療治は米国以外の国では無理なことで、今にして思えば、民主党はこの米国の潜在能力と国内産業を使わずに、製造を中国に頼り税金を他国の戦費にしたため、国内産業を衰退させ物不足インフレを起こし、移民による失業と治安の悪化を起こしたのではないでしょうか。
この、トランプの政策で利益を得るのは米国民です。ヨーロッパと日韓は軍事費の出費が増えますが防衛力が強化され、中国は弱体化して戦争の危険が減ります。さらに、ウクライナとロシアの戦争が終われば、ヨーロッパと日本は資源大国のロシアとの戦後復興特需が生まれるので、それほど悪い事では有りません。ただし、これにはプーチンが失脚せずに生き残り、習近平とは縁を切って西側諸国に頼ることが必要です。
ウクライナとの戦争でロシアの協力者としてうまい汁を吸っていた中国は、終戦で安い石油が買えなくなり、安物のEVや生活用品の輸出が止まってドル不足となり、エネルギーコストが上がっても製品が溢れてデフレ状態となり、中国経済は傾きます。この結果として反習近平革命が起これば、経済活動は止まります。
ここまでがトランプ大統領の影響ですが、これによって生じる日本にとっての難問は、この中国で内乱が起こらなくても億単位の難民を生じることです。難民が押し寄せる日本や周辺国は、中国人は民度が低いために大いに困ることになります。この明らかな難問への予防措置が必要にもかかわらず、石破内閣はビザ条件をゆるめて中国人の入国の閾を低くしています。こんな石破首相を辞めさせられない自民党の全議員が諸悪の根源であり、与党である限り中国人難民の予防が不可能なことも、日本の不幸です。