羽根邦夫Blog

”工学博士、電磁波対策製品WAVESAFE発明者のブログ”

消費税廃止を求めるトランプ関税は日本を再生する

 トランプ大統領の高率な輸入税は、相殺関税の原則に基きます。これは、ある国が米国商品に輸入税をかければ、それは貿易障壁であり米国はその国に同率の輸入税をかけるのが相殺関税です。この関税はWTO(世界貿易機関)に認められており、相手国の税だけでなく補助金や輸出入のアンバランスなどにも相殺処置が可能です。
 トランプ大統領の高額な輸入税は、主要国に対する輸出入の赤字を根拠としており、米国の産業育成の狙いが有ります。しかし米国は、永年の輸入超過で国内産業の衰退で製品の質やサービスが劣っており、すぐに産業を復活させるのは無理であり相殺関税の効果はすぐには出ないでしょう。4年間の任期中に何とか産業を再生できれば良いと言うのが本音でしょう。
さて、トランプ大統領は日本の消費税は輸出企業に対する支援策であると非難しています。実際には日本にとっても、消費税は産業の発展を阻害しており、財務官僚だけが喜ぶ悪税です。消費税を廃止することは、日本にとっても国民の生活向上と国の経済発展をする良いチャンスですから、消費税とはどんなものなのか説明します。
まず、日本の消費税の規模は令和5年度の税収の70.076兆円の中で、消費税収が23.923兆円、所得税収が22.530兆円、法人税収が15.861兆円、相続税収が3.566兆円と消費税収が一番大きく、財務省は既得権のこの税をやめたり減らしたくないでしょう。
 消費税とは、物品の売買ごとに買手に課せられる税金で、その物品が製品となるまでの材料、部品と形を変える段階ごとに徴収されます。また、消費税は国内向けの課税であり、輸出製品にはかかりません。
 消費税の制度を考え出したのはフランスで他国では付加価値税と呼ばれます。この税は、輸出国が輸出製品に補助金を出せば自由貿易に反するので、代わりの策として付加価値税とそれに伴う還付制度が考え出されました。ここで問題なのは、消費税では無く還付金の方です。これは、最終製品の輸出品には消費税をかけないのはリーズナブルですが、輸出企業が国内生産で買い入れた部品に払う消費税を、払い戻してもらう権利が有るのか無いのかが問題です。
 輸出製品の国内での生産で使う部品にまでさかのぼって与える還付金は、実質的な輸出企業への補助金だ、とするのが論点です。さらに、輸出還付制度を悪用して輸出していない製品に対する不正な還付金受給などの詐欺も有り、高額なために問題です。

 この還付金は年間7兆5千億円で、自動車などの輸出大企業への還付金は約6.75兆円に達しています。具体的には、令和5年度の還付金は、トヨタ自動車などの20社に約2.18兆円に達しています。トランプ大統領がこの還付制度をクロと判定すれば、10%の相殺関税が米国の対日赤字貿易額に上乗せされ、現状の輸出入赤字分の24%が34%になる危険さえ有ります。トヨタ自動車が頑張って米国内生産を増やして相殺関税から逃れようとしても、日本からの部品には34%の縛りが残るでしょう。
 従って、この関税を受け入れるのか、消費税はそのままで還付金を無くすのか、消費税と還付金を全廃するのか、の3つのどれかを選ぶことになり、それぞれどの様な影響を日本の経済に及ぼすか考えると。
 消費税をそのままにして、最悪で34%の相殺関税を認めれば、輸出企業は米国輸出用の製品の国内生産を止めて工場を人件費の高い米国内に移すことになるでしょう。この結果人件費が増えますが、これは競争相手の中国と欧州勢も同じで競争力は落ちません。むしろ、日本の産業空洞化が問題です。
 次の、消費税はそのままで還付金を廃止する方法にトランプは納得するでしょう。しかし、輸出企業は24%の赤字分相殺関税と7.5兆円の還付金が無くなるため、米国向けの輸出企業は、結局は米国へ工場を移転するので産業空洞化は同じです。
 3番目の消費税を廃止するのが国内産業と消費者にとって一番良い方法です。対米輸出は厳しいままですが、国内消費増に頼ってもらいます。税収的に、消費税収の24兆円が無くなっても7.5兆円の還付金支出が無くなるので、実質の消費税の減収は約17兆円となります。この減収分の穴埋めが出来れば良いわけです。
まず現在、自民党が国民全体に3~5万円の給付を提案しており、その総額は7兆円に達しています。この提案は当然、財務省べったりの自民党議員が内諾を得ているはずで、この7兆円が穴埋め財源となります。残り10兆円は、消費税の廃止で消費が増えて生産が活発となり企業の所得税が増え、これが給与を増やすという正帰還作用を生み、余禄としてGDPの増大が期待できます。この正帰還は、過去30年間の消費税増額ごとに景気上昇が阻害された前例の逆効果であり、確実です。
 まだ残る不足分は歳出削減で、医療福祉費約18兆円の無駄を削ることです。米国ではイーロン・マスクとDOGEが歳出を監査していますが、日本では会計監査院がその役目を担うことになります。福祉医療費の内で、実際に福祉と医療に使われる真水部分はわずかであり、これに手を付ける必要は有りません。
狙いは、福祉分野での福祉と教育の名を借りた沢山のNPO組織を廃止あるいは縮小して税金の横流しを防ぐことです。これ等のNPOは、厚労省や文部省と組んだ税金の横領を目的とする資格ビジネスや意味不明の福祉事業であり、官僚の天下り先や左翼団体の資金源造りが目的なので、潰しても実害は有りません。会計監査院に力が有れば、これ等のNPOへの税金の流入を断ち、歳出を減らせるでしょう。
 この様に、トランプ関税は財務省解体と消費税廃止の外圧となる黒船ですが、石破内閣はトランプ関税への対策を自国の努力では無く、「建設的対応」と称して小物の議員を交渉役にして米国側からの譲歩を得ようとしていますが、効果は無いでしょう。いずれにせよ、消費税の廃止に必要な財源は創れますから、廃止は私たち国民の所得を増やし、非生産的な福祉医療から生産的な企業への投資に支出を切り替えることが、今後の日本経済の発展を助けることになります。つまり、財務官僚が嫌うことは、国民にとっては良い事なのです。
 夏の衆参議員選挙では、消費税の廃止と減額が政治的争点になることを望みましょう。消費税減税を提案する国民民主党は政治的な追い風を受けており、玉木雄一郎総理、高市早苗副総理の組み合わせと消費税廃止が、日本復活のきっかけとなることを期待しませんか。

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