移民無しの日本社会の運用 (新日本2100計画 14)
西暦2100年、日本の人口は3千8百万人~6千4百万人となると推計されています。しかし、現在行われている的外れの少子化対策では、出生率は減り続けやがては国が無くなるでしょう。現在のお金で子供を買う方針は間違えで、若い夫婦が子供を育てる気になる社会を作ることです。人口減少でもう一つ大事なことは、移民無しで日本の社会と文化を維持運営することですが、これができるか試算をしてみます。
このブログでは日本社会の維持のために、外国人移民の労働力に頼らないことと、生産性の無いシルバー産業で働く若者が生産性のある産業に転職できるように、元気な高齢者が他の高齢者のお世話をする共助を提案してきました。
さて、今から40年前の1983年の出生率は1.80で、以後減少を続けて20年前に1.29となり、昨年は1.26です。このため現在の若年労働人口は、80年後の2100年における若年労働人口の1.5倍程度です。しかし、60歳以上の高齢者人口は2100年に比べれば3倍以上で、2100年よりも今の若年層の方がつらい思いをしています。
そこで、この多すぎる高齢者を負担と考えるよりも、元気な高齢者には働いて頂き、今後の人口激減ショックに備えた社会機構を今から創って行きましょう。それは、現在外国人労働者が働いている、簡単な仕事を日本人高齢者がすることです。これは、外国人労働者がいなくても困らないことを証明することでもあります。
現在、政治家と経営者たちは日本の将来は考えずに、教育の無い外国人を研修生と称して招き入れていますが、今後は外国人の就労ビザは特定の能力を持つ者以外には厳しくします。これは移民によって相対的に増える外国人の比率を抑え、外国文化の影響力が増えないようにするためです。これに伴う労働力不足を補うために、高齢者が働いて補填できることを確認しましょう。
日本で働く外国人の産業別雇用状況の図から日本に居残って欲しい人材として、「教育と学習支援」の2.7%と「情報通信」の4.6%は職種として他に代えがたく、多くは英米印からの3カ国からの移民で離職率の低いことが理由です。前回のブログで述べた様に彼らを積極的に勧誘することが望ましいです。加えて、老々介護で必要な補助職員としての「医療・福祉」の4.8%も、体力と経験が必要な業種で、残って欲しい人材です。これら3種の合計12.1%が日本に必要な外国人移民です。ただし、このグラフは事業者数で雇用者数では有りません。人数のデータが無いので事業者数で代えてあります。
2022年の在留外国人308万人が、1.2億人の日本の労働力需要を満足していると仮定しましょう。2100年での3分の1の人口に合わせて、前記の2.7%と4.8%を変えずに教育と医療を2万3千人に減らします。しかし、情報通信関係は現在のままの1万4千人として、合計3万7千人まで減らした外国人移民には日本の産業を振興すると期待して、共に働いてもらいます。
これ以外の「製造業、建設業、卸・小売、飲食」などの職種に従事する外国人が行っていた単純労働の必要数は3分の1の100万人となります。この職種に就く日本人の65歳~79歳の定年退職者には、補助金を使って外国人と同一賃金にすれば、日本人が替わりに雇用され外国人移民はいなくなるでしょう。
次に老々介護を現状から予測します。2100年の80歳以上の予測人口は400万人で、この内で80~85歳で他人を介護できるのは、元気で障害が無い126万人でしょう。一方高齢者の介護費受給者の予測は130万人で支援から介護までの7クラス中、要支援レベル1の18万人は自立できて介護は不要です。次に、要支援2から要介護2までの68万人には、元気な126万人が各自毎日3時間程度の介護をすれば、介護の必要な者も自宅で生活をすることができるでしょう。要介護3以上の残る45万人は、公費で運営する特別養護老人ホーム(特養)での介護と医療が妥当です。現在不足と言われる特養の収容人員は、2016年時点では57.9万人分有ったので、2100年では十分収容可能です。
これらの案は楽観的かもしれません。繰り返しますが社会が安定して若者が未来を信じられることと、シルバー産業で働いていた若者が産業界に転職して社会の生産性を上げることが、少子化対策となるでしょう。さらに、元気な高齢者は移民が就労していた職種で働けば減った穴を埋める助けにもなり、年金に加えた給料が孫へのお小遣いになるでしょう。
最後に、2100年の日本は移民無しなので労働力不足です。老若男女の全員が働くことで経済力の低下を防ぎ、この結果外交力と防衛力を維持して難民や周辺国からの侵略を防ぎます。私は、近年の公衆トイレの清潔さや、電車・バスの乗車の際立った秩序正しさや、礼儀の広まりなどから日本人の民度は上がっており、この人口減に日本人全員が協調することができると信じています。
繰り返しますが、移民を現在の約100分の1に減らし、共助により高齢者が低賃金で老々介護を行い、シルバー産業で働く若者を生産性の高い職業に転職してもらうことで、2100年の日本は生き残ることが出来るでしょう。