羽根邦夫Blog

”工学博士、電磁波対策製品WAVESAFE発明者のブログ”

トランプの2つの大統領令

 1月20日に就任した米国のドナルド・トランプ大統領(以下トランプと略)は、就任と同時に100の大統領令にサインをする、と公約していました。この中のメディアは無視していますが、期待する措置を挙げると、まずパリ協定からの再脱退、次いで、国境をまたいだ麻薬取引と人身売買の組織を外国テロ組織に指定する、の2つについてです。
 前者は選挙公約のインフレ抑制の根本原因となる、エネルギーコストを下げる効果を狙ったものです。気候変動そのものへの懐疑的なトランプの、「Drill, Baby, Drill」で有名な言葉で、石油をどんどん掘ってガソリン代と電気代、石油製品代を下げる、と言うものです。もっとも、トランプが選挙に勝った時から石油価格は下がり始めており、米国よりももっとエネルギーを国外依存する日本も恩恵を受けています。
 しかし、米国産石油には、国内での輸送設備の不備と精製設備の偏在が足を引っ張っているので、当初は効果は限られます。今後は、バイデン政権で制限されていたパイプラインや石油精製工場などが建設され、米国産石油の流通網が整えばトランプ政権の半ばから効果が出て来るでしょう。
 石油にかかわる問題として、もう一つ。バイデン政権と中国との癒着の象徴のEV補助金の撤廃が行われ、中国が生産の大半を占める太陽電池や風力発電に関わる再生エネルギー発電設備の補助金も制限されます。これらは米国の税金を使った中国の産業への補助金ですから、まず中止でしょう。
 この結果、関税の引き上げを待つまでも無く、中国の自動車産業が壊滅的な打撃を受けます。同じくEVに傾注していたドイツの自動車企業たちは日米でEVが売れず、メルケルとショルツ元首相を恨みながら、屋台が傾くことになります。従って今後生き残るのは、日本はトヨタ、マツダ、スズキ、もしかしたらホンダも、韓国のヒョンデ、米国はフォード程度でしょう。
 この石油再開の根源となる脱炭素と温暖化の問題は、中国の経済発展が止まって低効率で粗悪な化石燃料発電所の建設が中止、そして停止しても温暖化が進めば脱炭素が無関係なことが明らかになるでしょう。ちなみに、米国の石油生産再開は、米国内消費量が増えることにならないので温暖化問題とは無関係です。
 大統領令のもう一つの麻薬取引と人身売買の組織をテロ組織に指定することは、麻薬、人身売買、低賃金労働力の密入国、などを、これまでは国内の治安問題として扱わなければならなかったことを、国外で犯罪組織を攻撃する許可を与えることになる、非常に強力な措置です。テロ組織調査には、CIA、大使館などの使用が可能となり、テロ組織と認定されれば軍事攻撃、つまり逮捕と裁判無しで殺害が可能となります。これにより、密入国をあっ旋する組織と犯人が消去され、壁を作るまでも無く短期間(1か月以内)で密入国者は激減するでしょう。それでも、こんな暴力的なことを続けることはできないので、壁はやはり完成させるでしょう。

 これらの2つの措置は、市民の生活に直接かかわる物価と治安の両方に関わります。民主党がないがしろにしてきた、もしかすると双方を悪くすることで民主党に票が集まると思っていたのかもしれませんが、トランプ共和党政権としては市民のためであれば深く考えずに改善すべき問題です。
 次のステップは戦争の中止です。すでに就任前の圧力で、イスラエルとハマスは停止と話し合いに入っています。ウクライナとロシアには中国とNATOが絡み解決は複雑ですが、これ以上の悪化は無いでしょうから、数日待つことにしましょう。

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