羽根邦夫Blog

”工学博士、電磁波対策製品WAVESAFE発明者のブログ”

生成AIが正しいのは理系だけ

 1月29日のロイターは、新興AIメーカーのディープシークDeepSeek社が作った回答型の生成AIについて、懐疑的な記事を載せました。この手の11の回答型生成AIの中で、10位の正確度と言う内容でした。ここで、ロイターはニュースや情報分野での問いかけをしたのでしょう。回答型AIと言うのは、世界中の情報源の検索結果から回答を創り出します。したがって、政治や歴史の様な分野でのAIの回答は、AIプログラム作成者が意図的に探し方に方向性を持たせれば、一般常識とは正反対の意見を持ってきてしまいます。これに比べて、答えが確定している理系の分野では、ほぼ正しく答えを出せるはずです。
 ロイターによると、ニュース関連の質問に対するディープシークAIの回答は、30%が誤った主張を繰り返し、53%は曖昧または役に立たない回答を返したので、不十分な回答は83%となり、満足できる答えが17%になったわけです。
 回答型アプリには、米国のOpenAI社のチャットGPT、Google社のジェミニなどの先発アプリが有ります。ニュースに関する問いかけに対して、これらの会社が作ったAIの正解率が63%に対して、ディープシークのAIは17%しか正解を出せなかった、と有ります。回答の原理を知っていれば、問いかけの意地が悪ければ、この様な答えを創ることは可能です。
 朝毎東共でしたら、この様な知識を持ち応用できるだけの能力を会社が持っていないので、こんな記事を書けないでしょうが、流石にロイター社は人材が豊富なのでしょう、やっちゃっています。ところが、右派どころか中央もいない左派系の欧米マスコミ界でのロイターが、中国共産党が喜ぶ質問を創らなかったはずが有りません。ディープシークAIにはよほどに、政治性が作り込まれているのでしょう。
NHKも論説の中でディープシークAIを取り上げて、「尖閣の領有はだれ?」と、問いかけたら“歴史的に中国”、と答えたとのことです。この他にも中国に関わることは100%忠実に、関わらないことでも中国政府の立場を忠実にコピーしているとのことです。この点を、NHKは左派とは言えディープシークの問題点を見逃してあげずに叩いていたのでしょう。

 それでも、ディープシーク株は欧米で大いに売れており、米国のハイテク株は影響を受けて、一時的に1兆ドル(150兆円)下落をしました。これは、ディープシーク社が30分の1のコストで使い物になりそうなAIを開発し、これをオープンソースとして他社が自由に使えるようにした、ソフトウエアの能力の比較をされたからです。
 回答型AIは最初に述べたように、参照するデータベースの縛りが回答の範囲を制御できます。これは、言ってみれば多数の情報源からの情報の多数決をとる様なものです。理系の質問には正解が1つしか有りませんが、ニュースや文化や政治の問題に正解をしてくれると期待してはいけません。

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