羽根邦夫Blog

”工学博士、電磁波対策製品WAVESAFE発明者のブログ”

MLBでホームラン量産中の新型バットとは

 米国の大リーグでロスアンジェルス ドジャースに所属する、大谷選手ら3名の日本人選手の活躍に一喜一憂している方々へ、気がかりな情報が飛び込んできました。それは、ヤンキースがブリュワーズ戦の2試合で13ホームランを打った新型バットの登場です。このバット、下の写真の様に先端から少し下のボールが当たる位置を太くしたTorpede(魚雷)と呼ばれるバットです。
 このバット、太さ2.61インチ以下、長さ42インチ以下と言う野球規則に収まる形状で、物理的に投手の投げたボールが当たる面積を増やすくらいに考えてはいけません。物理的に大きな効果が有るのです。

 まず大事なことは、プロの選手はボールを当てる場所が、投手の投げるボールが高低遠近どこに飛んで来ようとも、ほぼ同じだそうです。そうであれば、この打撃点にバットと打者の力が集中するようにバットを造れば、ボールは遠くまで飛びホームランになります。
 そこで、写真をご覧ください。黄色い点線の部分がバットの先端に比べて太くしたことで、バットの重心を先端部からグリップの場所に近付ける効果を生みます。この結果、ボールが当たった時のバットの縦方向の軸をぶれ難くして、ボールが水平方向にぶれることを防ぎ、さらにバットの運動エネルギーを打撃点に集中させます。
 もう一つ、重い部分をグリップに近付けることで、打者がバットを振る時の力が軽くて済みます。これは、同じ力で振ればバットスピードが上がり、バットが蓄える運動エネルギーが大きくなることです。これ等の結果、ボールは左右にぶれることなく、大きくなった打者とバットの力を貰って、ホームランになります。
 さて、このように形状を少し変えただけで、2試合で13本のホームランを生み出したバットは、野球と言う運動競技にとって良い事なのでしょうか。結論から言えば、私は使用に反対です。例えば、マラソン選手がスパイクを軽くしたり、水泳の選手が水着の抵抗を減らすのは、道具からの選手への邪魔を減らすことであり、かつてのオリンピックが全裸で戦われた時と同じで、問題は有りません。
 しかし、このTorpedeバットは、ボールに当った時にバット自身が打撃点にバットの持つ運動エネルギーを集中させる効果が有ります。つまり、今までのずん胴のバットには無かった、選手が持つ以上の力をボールに与えるので、フェアプレーの観点から良くありません。
 MLBでもMVPクラスの選手は年間のホームランは30本で、並みの選手では多くて10本です。この点で、大谷選手が年間で40本以上を打つのは、人並外れトレーニングと努力で得た成果です。大事なことはこの努力を他の選手たちが認め、参考にしていることです。ところがこのTorpedoバットは、並みの選手にMVPなみのホームランを与えてしまいます。
 大谷選手がもしTorpedoバットを使うと、彼の打率は4割に上り、1試合の平均打席が4打席で年間で130試合は520打席となり、ヒットがホームランになる確率が増えて、150~240本のホームランを打つことになります。他の3割打者も200本近くを打つ上に、並みの選手はこのバットで年間30本のMVPなみとなります。毎日、凡打者でもホームランを打ち合計6本くらいとなる試合が面白いかと言えば、スポーツとは素の体力と技を競うから観ていて面白いのであって、道具でドーピングされた並みがボンスカ打ってもつまらないのではないでしょうか。
 最後に、プロ野球では先端部にコルクをつめて軽くしたバットが禁止されて、4人の選手が処罰されています。これは重心をグリップの方に移す効果が有り、Torpedoは同じです。このバットをピート・ローズが密かに使っていた、と今でも問題になっています。さらに、現在でも先端をくりぬいたバットがOKと言う問題が有ります。これはバットを振りやすくするからと認められていますが、コルクバットと同じ効果が有ります。従って、くりぬきバットとTorpedoは禁止されたコルクバットと同じとして禁止すべきです。

Copyright © 2015-2021 Hane, Inc. & Beacon Associates, Inc.