電磁波対策の3番手はWavesafeウェーブセーフ
Wavesafeウエーブセーフは10年にわたる電磁波制御技術の成果です。最初は心臓ペースメーカー用の電磁波吸収の大型のアンテナを上市致しました。これに代わって、6年前から販売しているアイ・ピピも電磁波吸収型で、お腹の赤ちゃんへの電磁波の被曝を減らします。
今回発表したWavesafeは、お客様から「携帯電話に貼って使えませんか」と言う質問を沢山頂いたので、それに対する解答です。皆様のお考えは、携帯電話の出す電磁波を元から断てば良いのでは、と言うことです。しかし、アイ・ピピはピンポイントで電磁波を吸収しておなかの赤ちゃんへの電磁波被曝を防ぐもので、これを携帯電話に使えば電磁波が弱くなり通話に差し支えます。アイ・ピピの吸収と、Wavesafeの導波とは電磁波への働き方が根本から違います。吸収せずに方向を替えるだけですから、Wavesafeは通話に差し支えません。
Wavesafeの導波器としての企画は、アイ・ピピの開発直後からアンテナ技術者として持っていました。しかし、携帯電話のサイズ、特に横幅が不足で実現できないだろう、と手を付けませんでした。ところが、最近になってiPhone5以降のスマートフォンの大型液晶画面は横幅が58mmを越え、ケース裏面に広帯域のアンテナを納めることができそうです。アンテナの開発は、予想は出来ますが作ってみなければ分りませんから。これまでの知識と経験を導入し、半信半疑で始めましたが実験を繰り返すことで効果を確信しました。
シミュレーションと言う手段も有りますが、電話器や手などの周辺条件の入力が面倒ですし、計算機の使用料金が莫大になります。従って、実際にアンテナを試作し、実測を行いながら「こうすれば、こうなるだろう」と次の試作を行い、所望の特性を得るわけです。
このために、まずクローバー部分のテアドロップアンテナのサイズを選ぶ作業を行いました。クローバーにはアイ・ピピ開発の時の残りを4種類に手を入れて使い、新たに3種類をメーカーに発注しました。この7種を使って導波特性を確認しました。この時点ではサイズは気にせず、周波数特性だけです。アンテナはアイ・ピピの様に縦と横のテアドロップアンテナは直行しています。
次は、スマートフォンに合わせてサイズを小さくするのですが、テアドロップが直交したアンテナで、携帯電話の使う帯域に合わせると大きすぎ、スマートフォンのサイズに合わせると周波数が高すぎて、使えない。
しばらく悩んだ末に、90度に直交するクローバーの葉の部分のテアドロップ型アンテナを90度から狭くしてみよう。横幅が狭くなればスマートフォンの裏に付けられ、縦は長くなってもかまわないからやってみよう、となりました。電磁波技術では、アンテナの方向を偏波面と呼びます。水平偏波と垂直偏波と言う言葉は有るが、斜めにするとそれぞれが緩衝して、アンテナとして働かないのではないか、と心配しました。しかし、使ってみると問題なく働くことが分りました。Wavesafeの使っているテアドロップアンテナと斜めの配置は、横幅と周波数特製がそれぞれ許されるギリギリの値です。下の写真は、右がテアドロップが直交したWavesafeの原形です。
このアンテナは四葉のクローバーに似ています。700MHzから2.5GHz以上までの広い周波数帯域で電磁波を制御します。アイ・ピピが電磁波を減らすのに対して、Wavesafeは電磁波をロス無く方向を変える、導波器です。携帯電話の使う電磁波を全ての周波数帯域で導波するのは、一般的な棒型アンテナでは不可能です。テアドロップアンテナの広帯域特製が必要です。
このような導波器の考えは、電磁波の技術者は当然考えます。しかし、これまでに携帯電話を作っている大企業から出願されている特許の明細書(いずれも新規性無しで拒否されています)は、基地局に向けて電磁波を飛ばす、と言う目的ですが、明細書で注目するのは、頭に影響を与えないことを効果の一つとしています。やはり、頭は被曝させたくないのです。
話を元に戻して、開発をどの様に行ったかをより詳細をお伝えしたいのですが、ここから先はノウハウになります。一言申したいのは、Wavesafeのパルタン星人の様な形状は、大変に手間を要した開発作業の結果であることです。この作業から、Wavesafeを販売するビーコンアソシエイツ社の村上氏に手伝って頂きました。Wavesafeは、”導波器を作ろう”と言う目標だけで作り始めました。条件は、スマートフォンの裏側に収まる大きさ、と他社製品よりも優れていること、です。村上氏と議論をしながら、導波特性が十分で、邪魔にならず、軽くて低価格である、等などユーザーに役立ち、アピールする特徴を作り出しました。結果は、Wavesafeとして製品化しています。下の写真の左は、形状を決めた後で、製造方法の検討中のものです。まだ湾曲して皺が出ており、これを無くすにも工夫が必要でした。この様に、形状の決定から製造方法の決定まで、Wavesafeはノウハウのかたまりです。
今のところ、携帯電話の使用する周波数帯域は、音声通話は途切れの無いリアルタイム性が要求されるので、伝播特性の良い1GHz以下の帯域で行われます。Wavesafeはこの帯域での特性を特に良くしました。これより上の周波数帯域では情報通信が主で、LTE方式によるデジタル情報のやり取りは再送信が可能なので、帯域が広いが伝播特性が劣る2GHz近辺を使っています。情報通信では電話器を頭に密着させないので、Wavesafeの導波特性は低いですが大丈夫としました。これは地面近くの通信特性が低いところで送受信を行いたくないからでもあります。
しかし、将来はLTEで音声を通信するかもしれないので、その時点でのWavesafeは1.5~2GHzでも現行の1GHz以下と同様のゲインを稼ぐことになるでしょう。
これは、現行のWavesafeの技術の延長で行えます。