マニラの方が涼しいとは!と、ホメオスタシス
暑い日が続いています。例年、梅雨明けから立秋までの夏休みの前半は、東京でも35℃に達する暑い日が続きます。こんな異常ではないか、と思う日々ですが、これは東京と関東地方に限って言えば、ヒートアイランド現象とフェーン現象によるもの。フェーン現象は昔も有ったのですから、最近の35℃オーバーは、ヒートアイランド現象が原因です。
1月おきに東京とマニラを往復している友人から「マニラの気温は29~32℃で東京よりも3℃くらい低い」との話。えっと思って調べたら8月のマニラは雨期の最中で、連日28~29℃ですが湿度は連日80%以上。ヒートアイランド現象の東京の方が確実に高温です。ただし、湿度はほんの少しだけ低い様ですが。
東京の緯度は北緯34.5度で年平均気温は15.4℃です。マニラは北緯14.5度で東京と緯度で20度の差があり、熱帯性気候で年平均気温は26.5℃で、11℃の差が有ります。8月半ばのマニラは南中時に調度頭の真上で太陽に一番近い位置です。それにもかかわらず東京よりも気温が数度低いのはどうしてでしょう。理由は雨期で一日に数回スコールが有り、天然冷却されるから。雨が降った後は、強烈な太陽で地表の水分が蒸発する。だから湿度が80%になるわけです。
では雨がどうして降るのか。それは太陽光が強いので地表や海面が熱せられ、蒸発した水分を含む空気が上昇気流となって雲を作るからで、よくできている熱と水の循環システムです。フィリピンには雨季と乾季が有り、日本での春と夏は雨期、秋は台風、冬が乾季、と考えれば良いのでは。基本的に南洋ですから、乾季以外は涼しさを求めてはいけないようです。
そう言えば、平均気温26.5℃のマニラを行ったり来たりしている友人は寒さに弱く、秋口からセーターを着こんでいます。人間にとって短時間での繰り返しの温度変化は大きなストレスです。東京での生活は、室内の冷房と外気の高温の間には約10℃の温度差があり、この間を頻繁に出入りすることは、我が身をヒートサイクルテストしている様なものです。私は、一日に3回以上高温と低温と、それぞれの温度で馴染んだ後での変化を1週間繰り返すと、体調がおかしくなります。これは人体の持つ恒常性(ホメオスタシス)、つまりその刺激に体を慣らすこと、の機能が過負荷で疲労破綻をきたしたためです。一般的には冷房病などと呼ばれています。対策はどちらかに決めて、恒常性に負担をかけない様にすることです。暑かったら暑いまま、寒かったら寒いまま、と反対側の環境には立ち入らないようにすることです。ですから一日中冷房のかかった場所で働く方は、それなりに恒常性への負担は少ないわけです。
立秋をすぎましたので、もうひと踏ん張りしましょう。