羽根邦夫Blog

”工学博士、電磁波対策製品WAVESAFE発明者のブログ”

ドイツがEVを「ヤーメタ」です

 EUは技術的合理性と国際間の政治・経済関係を見誤って、2035年には内燃エンジン車禁止をうたって法制化しようとしていました。しかしここへ来て、ドイツが見直しを要求しています。勝手な解釈をすると、物理学博士のアンゲラ・メルケル前首相は科学者によくある技術音痴で、中国へのお愛想で脱エンジンの盲論に追従してきたのですが、後任のオラフ・ショルツ現首相が、「ヤーメタ」と言い出したのです。
 これに対してフランスは世界の自動車の法律と技術方向を決める国、と自認しており面子を潰された形で真っ向から反対しています。余談ですが、世界の自動車関連の法律には、フランスの意向が強く反映されます。これは歴史的にフランスが自動車作りを先導してきたからで、新参の米国や日本がいくら口出しをしても、EUとしてまとまられると、敵いませんでした。ところが、これが内輪もめでフランスは焦っているのです。
 ドイツの「ヤーメタ」には理が有ると思います。ドイツは、EV統一は技術の発展性を閉ざすもので、合成燃料のe-fuelを使うエンジン車も認めろ、と言う事です。e-fuelは、工場が出すCO2と、再生エネルギーで作った電気で作る水素で合成する燃料です。この燃料は、ジェット燃料、ディーゼル油、ガソリンを作ることが可能で、フォーミュラ・ワンF1も2026年から燃料を100% e-fuel化しますから、ドイツは実現性を見込んだので、法案化に反対したのです。
 この35年のエンジン禁止法案にはイタリア、ポルトガル、チェコ、ポーランドも反対しています。日本は関係が有りませんが、トヨタも法案には反対と思います。マツダに至っては堂々と新しいディ-ゼル車を出し、ロータリーエンジンのHVのうわさも有ります。どうやら、フランスは脱炭素と言う風車に立ち向かうドン・キホーテのようです。いまや、脱炭素は信じているふりはするが、本当はだれも信じていない宗教になっています。
元々が、エンジン技術を持たない中国が、低レベル技術で作れるEVだけしか自国内では売らせない、として始めた奇手です。ところが、製造技術を伴わずに韓国の電池技術を見習って作った電池は毎日炎上し、さらに悪いことに国内の発電能力が底をつき、化石燃料の輸入に四苦八苦して国際政治にまで影響しています。

 こんなEVの行く末をトヨタは技術の先を読み独走をしてきました。これを見た英独伊西、つまりフランスと北欧以外はこの後を追うことにしました。トヨタはEVには全固体電池を当て、省エネルギーにはHVを、使える車にはPHEV、総合的な炭素排出量低減策として会長自らが推進する水素エンジン車とe-fuel技術の導入、と全方位です。ドイツはe-fuelに賭けたわけですが、きっとトヨタは技術援助の手を差し伸べることでしょう。
 ついでですが、EV化の影響を受けなかった米国は今後も変わりは無いでしょう。テスラはイーロン・マスクのおちゃめな性格で、低価格化と高機能化で中国の自動車産業をひっかきまわして混乱させており、いずれ中国から離脱することでしょう。米国内には、テスラの様な風変わりで自己主張の強い車を受け入れる階層がいるので、中国市場に頼る必要は無いのです。
 EU圏内の嵐は、フランスが折れてEV一辺倒を止めれば収まるでしょう。これには日産がHV技術をルノーに提供することで可能です。ドイツが投じたEV化への反旗は、今後の日本自動車業界にとっても良い影響を及ぼすことでしょう。

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