フランス政府がiPhone12の販売停止命令
フランス政府は9月12日に、米国アップル社のiPhone12の販売停止命令を出しました。発表によるとiPhone12はSAR(比吸収率)と呼ぶ頭部での電磁波吸収量が、基準値を上回ったためで、アップルは15日以内に是正措置を取る必要がある、と声明しました。これに対して、13日にアップル社はiPhone12は各国でSARの基準値をクリアしており、問題が無い、と発表をしています。
まず、SARとは、メーカーが第三者機関に委託して、新発売の機器が発する電磁波の強度を疑似人体モデルを使って測定して、公表するものです。日本も全ての機種のSARが公表されています。政府はこの公表値をもって発売を認可しています。
この度のフランス政府の発表は、何が発端か分かりませんが、政府は抜き打ちで再検査し、基準値の違反を指摘したわけです。私は、フランス政府の再検査をかなり驚いて受け止めています。と、言うのは日本での発表値はいずれの機種も基準値の8割という、ぎりぎりの値を発表しています。
そもそもが、この疑似人体モデルを使ったSAR値は、精度良く測定するのが工学的に非常に難しいのです。これを基準値から2割以内で測定し、公表するのは技術者として胃が痛くなる作業です。
最近の携帯電話は、アンテナに注入する電力をソフトウエア制御して、出力の電磁波強度を決めることが出来ます。従って、この人体モデルを使った実測では、ソフトウエアをいじりながら、通話距離を稼げる電磁波の強度に設定していると思います。フランスの第三者機関での測定と、政府の測定での人体モデルや電話機の位置、電力を測るプローブなど、微妙な違いで2割程度の許容値は軽く飛び越えるでしょう。
と、言う訳で、フランス国内で販売するiPhone12は、オンラインのアップデートで若干のアンテナ出力を低下させることになるでしょう。iPhone15が発売されるので、今更いちゃもんを付けても意味が無いのですが、まあ、国の権威を示すためにも、たまにはこういった行為が必要なのでしょう。
最後に、このブログを掲載するホームページのウエーブセーフは、問題となっている頭部の電磁波被曝量を、約10分の1に落とします。多少の出力オーバーでも、脳細胞の被曝は抑えます。ご覧ください。