少子化した日本の6,3、3,2の新教育制度 (新日本2100計画 8)
これまでは、伝統的な日本文化が生産性を高めることに有効であり、移民の持ち込む文化は人口が減少する日本の国力を高めない、という文化の多様性には否定的な論を述べました。そうであれば、日本文化を保持する日本人が納得し、協力してもらえる社会制度を探しましょう。
これは、国力が人口という数と国民の質によって決まり、数は日本は出生率が1.3程度で今後も増やせる見込みが無いので、手持ちの人材を再配置して実際に働く数を増やすことと質の改善でしばらく耐えて、出生率が大きくなる社会を目指すわけです。
ランチェスターの法則では、国民それぞれが自分の職業に対して専門性が高く、他者と連携して専門性を活かせば能力の掛け算となり、生産力は人口の二乗に比例する2次法則に従います。一方、他者と連携を行わなければ、生産力は人数に比例するだけの1次状態になりますが、こうしたくありません。
この2次法則化に、人口が減少した将来の日本が世界の国々と伍して生き残る道が有ります。つまり、日本人はそれぞれの仕事で専門家となり、かつ他者と連絡をしながら連携して働くことで、2次法則の生産力を持つ国家になり、周辺の人口は勝るが1次法則の国々には負けない国を目指します。
しかし、日本にも問題が有り、GNPの人口比が米国に敵いません。これは、現在の日本には75歳以上、人口の15%に達する「時を過ごすだけで働かない」ゼロ次法則の後期高齢者がいます。この年代は、高度成長時に作られた福祉政策の「若者の労働力の上にタダ乗りする高齢者」です。しかし、制度が作られた時と違い今はこの世代も働く気が有り、多くの超高齢者は社会の役に立てる制度を作れば、喜んで参加してくれることでしょう。これについては、後のブログで詳しく説明します。
80年後の2100年では、高齢者も自立して社会の中での役割を果たし、現在の介護や交通整理などの単純労働で働く若者と共に2次法則の職場に再配置すれば、労働力が増えて現在の国力を維持できるでしょう。この2次法則化で大切なことは、他者と連携する意欲と能力です。これは日本人であればだれもが持つ、暗黙の意思疎通です。
もう一つ、2次法則に加わる人数を増やす方法は、教育制度を20歳までの6,3,3,2制にすることです。教育期間が16年間から14年間に減るので、小学校から短大卒業までで全ての教育内容を確保し、質を高める必要が有ります。まず、小学校と中学校の充実は、100年前の江戸時代の初等教育が成功例です。個人指導で初等教育を行う寺子屋でのマンツーマン教育と、これも緻密な丁稚(でっち)奉公でのオンザジョブトレーニングは、現在も使える方法です。
ただし、この寺子屋と丁稚奉公には、今まで以上の質と量の実力の有る教員が必要です。投資が必要ですが、落ちこぼれる若者が減るので、トータルとして価値が有ります。下の図は江戸時代の寺子屋の例ですが、先生と助教が2名おり繁盛している寺子屋のようで、最近の小学校と同じ程度の人数の子供を、同じ程度の学童と教員比で教育しており、参考になります。
高等学校は一般教養を完了するカリキュラムとし、4年制大学の教養課程の一般教養までを前倒しします。短大では専門教育と卒論を経験する2年制のカリキュラムにして、学生に教養課程での中だるみを作らず、専門教育に集中してもらいます。
心配は、短大の入学試験対策に高等学校の教育がゆがめられて、一般教養に欠けができることです。これには、高等学校でのカリキュラムを乱さない様に、入試問題を重箱のすみでは無く本質を問う問題とすることですが、難しいことだと思います。次の世代のために、皆で知恵を絞りましょう。
以上の様に、6、3,3,2制は今の教育体制で実現できます。20歳の短大の卒業式は、社会人として働き始める本当の成人式です。
就学期間を2年減らし、社会に出て実学を学び続けることは、現状の無為な生活を過ごす、若者の精神的な成熟を早めます。給料を2年早くもらえることは、GNPを引き上げるだけでなく、もしかすると婚期を早めて、出生率を上げることになるかもしれません。
そして、政治家の方々、GNPの引き上げは財政上の余裕を生み、設備投資と財政投資により、経済発展が目指せます。いつまでも財務省が唱える財政健全化という縮み思考では、すでに始まっている人口減による経済力の急減から逃れることはできません。安易に移民の労働力で人口減を補おうとしても、経済は改善できず治安が乱れるので、日本の経済力は日本人が自ら改善するしか無いことを、政治家も役人もご理解しておいて頂きたいです。