EV用電池の不都合な情報
EV(電気自動車)は、自動車製造に関わる世界の企業に対して大きな影響力を持ちます。世界のEV事業は二人の人物に握られて、今後のEVだけでなく、HV(ハイブリッ者)、CV(エンジン車)が影響を受けることになります。一人目が火星探検を目指して、スペースXというロケット製造会社を設立したイーロン・マスクです。もう一人は、中国のリーダーです。
EVは、電池とモーターと車台が有ればEVを作れる、とイーロン・マスクはテスラ社の創業者の一人となりました。中国はEV押しの国策で、500以上のEVメーカーが作られ、過剰生産で1年分の在庫を抱えてしまい300者が倒産し、生き残った大手はBYD社だけです。
そんなわけで、現在世界1の金持ちのイーロン・マスクのテスラと、もう一社は元スマホ用電池のメーカーのBYDの2社が、世界の主要EVメーカーです。しかし、人が乗る自動車となると非常に難しい代物です。
それは、EVの核心部品の電池が電気、化学、機械加工の高度な知識と、大量生産に関する豊富な経験が必要な、お金では解決できない知的創造物だからです。この知力に欠けが有る中国製の電池を使うEVは、毎日80台が燃えており周囲の車や建造物に飛び火する危険が有ります。最近では自動車運搬船に積んだ1台のドイツ製EVが原因で、3783台(内498台がEV)の自動車ごと船が燃えた。と、言う物騒な話に事欠かないエネルギー爆弾の特性を列記します。
(1)EVの航続距離や加速、最高速などの動的な性能は電池の容量で決まり、大きくすると欠陥の確率が大きくなり、燃える危険が増える。
(2)EVの製造コストの半分は電池で、電池には寿命が有り、公称は8年間で走行距離が16万kmとされる。しかし、車台は電池よりもはるかに長い寿命を持ち、電池の寿命とアンバランスになっている。
(3)電池は、製造時の不備が原因で長期間の使用と高温で発火することが有る。さらに、事故による衝突、悪路走行での衝撃によって電池内部が変形し、電極がショートして発火する。
(4)電池は、100%の充電から0%まで放電する“深い”使い方は痛みやすく、50%近辺でわずかの電気量の充放電を繰り返す“浅い”使い方が痛みにくい。
(5)電池は、使用する温度が20℃以上で劣化し、20℃以下は容量が減る。
(6)電池は、寿命が来るまでは一切の手入れが必要ない。
まとめると、EVをエンジン車に比べると、メンテナンスが楽だが、電池は極端に寒いところや暑いところでは性能が低下し、衝突すると床下に入れた電池が連鎖的に炎上する危険が有り、中古車価格が低い、です。
電池の特性からでは無いのですが、EVは高速道路走行に向きません。これは自動車の走行抵抗は、低速では速度に比例する転がり抵抗が主で、時速80㎞以上の高速走行では速度の3乗に比例する空気抵抗が主になります。つまり、時速40㎞で100km走れるEVでも、時速100㎞では50km程度の距離で電池が空っぽになります。特に速度の制限が緩いドイツやイタリア、そしてアメリカでの高速道路の走行には向いていません。
一方、アフリカや南米の悪路では、衝撃に弱い電池の安全性と信頼性が不十分です。その上に電力供給網が進歩していないので、充電できる場所が限られてしまい、EVは 使い物になりません。この様な国々では、普通のガソリンエンジンとディーゼルエンジンが主体になるでしょう。
EVを家族そろっての長距離の行楽や旅行に使うのは、充電待ちが悪夢になるので、EVは自宅でゆっくりと充電して、主婦が日常の食材の買い出しや家族を駅まで送る様な、軽い役目向きです。買ってから8年後、寿命が来たEVの次に買うのはHV系になるでしょう。
この先、補助金の後ろ盾が無くなり、電気料金の高騰も加わります。それに作れば作るだけ基本特許を握る日本企業に使用料を払わねばならす、この険しいEVの将来にイーロン・マスクと中国は、どんな手を打てるのでしょう?