実質GDPを増やす高齢者の労働参加 (新日本2100計画 15)
日本は出生率1.2で、人口が急減して国力を急激に失っています。低い出生率は、若者が子供を産んで育てる気になれないからであり、子供をつくる気になるには当座のお金では無く、経済的に安定した生活と社会に平和を感じてもらうことでしょう。
ここでは、経済的安定をインフレ率を差し引いた実質GDPが毎年1%以上実質増加し、収入が定常的に増えることとしましょう。社会の平和とは、政治が安定して外交、経済、軍事・防衛力が必要にして十分な能力を持つことです。現在はこれらが満たされていないため人口は減り続けていますが、この2つを満たすために経済発展と社会平和を目指すことで出生率が大きくなるのなら、この一石二鳥を狙いましょう。
最初のテーマのGDPが1%の成長を続けるには、国家予算を使って産業への投資を続けることです。ところが、現在の内閣と財務省は、政策費と税収が見合うプライマリーバランスの単年黒字を信奉しており、予算を赤字化するのに協力的ではありません。民間では、投資から利益の回収までは時間差が有るのが当然で、投資から利益までの期間は事業によって異なるので、単年黒字を望むのは無知です。
さらに、新規事業に予算を付ける時は準備が無いので、不足分は国債で補填して資金を調達します。つまり資金繰りであり予算規模は大きくなります。何年か経って事業から利益がでて税収が増えて、借りていた国債を利子を付けて返せばその事業は終了です。しかし、経済成長を続けていればより多額の借入をするので、国家財政は再度赤字になります。つまり、資金繰りに使う国債が増え続けても、税収が増えて返す当てが有るので気にする必要は有りません。
肝っ玉の小さい政治家や官僚たちは単年度黒字を希望し、投資には躊躇しますが、国債でお金を借りて投資して、利益を上げて利子を付けて返せばよいだけの話です。大事なことは何に投資をするか、です。
この様に、国家財政の目的を経済発展重視型にすることで国力が増加している間は、財政の収支が赤字になっても問題は有りません。財務省という近視眼の小心者の集まりは、国家の経済運営に口を出してはいけません。予算の発案と執行は政治家と経産省に責任を持たせて、利益を出したら褒めて、失敗したら首を切るという権限を財務省に持たせておきましょう。評価は金額で決まるので言い逃れや忖度は起きません。
1次産業の農漁業は、2023年時点で4千万人分の食料を高齢の3百15万人で生産しています。食料を自給できれば、貿易封鎖をされても耐えられるので外交において非常に重要です。今後、この生産体制を維持し日本人が得意の“改善”をすれば、生産物が増えて余った分を輸出に回すことができます。一方、エネルギーや鉱物資源が無いので、今後は資源の開拓と新技術などで不足する資源を自給し、これもあわよくば輸出して外貨を稼ぐことを考えましょう。
2次産業は、意思疎通が難しい移民の雇用をやめて日本人に代えることで、労働者間の意思疎通が良好になって労働効率が高まり、生産が増えて賃金が上がります。ただし、高齢者の雇用も必要なので、肉体を使うものだけでなく経験と知恵を使う労働も大事です。すでに女性の2次産業就労が始まっており、これがそのまま高齢者にも適用できるでしょう。
3次産業は、知恵と気付きの労働環境で、これこそ高齢者の経験が接客サービスに役に立つはずです。しかし、高齢になると認知症の初期症状としての過剰な正義感が短気と合わさってこらえ性が無くなるのが問題です。接客の前面には出ないで、裏方になる方がむしろ適した役目だと思います。
お気づきになったと思いますが、1,2,3次産業全てで高齢者を交えた共同作業が今後のポイントとなります。高齢者が産業活動に参加することで、若者は共同作業の中で高齢者の経験と知恵を学び、上手に働くことで給金も増えます。このように若者と各人の労働の質を高くすることで実質GDP1%増加が可能となる、と期待をします。
残るテーマの社会の安定と平和の実現には、政治的な安定性が第1でそれに基づいた外交、経済、軍事・防衛力が必要にして十分な能力を持つことです。日本は国民の教育と倫理、道徳が優れており、個々の日本人の技術力は優れ、単一民族であることと国民性から意思疎通と連携の能力が高く、共同作業が得意です。この能力をベースとして、新しい産業と事業を作り出すことを期待しましょう。