トランプ大統領の「不倫裁判」がニューヨークで始まる
(尊称は略します)
トランプ大統領の不倫裁判が4月15日にニューヨーク市内の裁判所で始まりました。基礎は、不倫についての民事裁判では無く、刑事裁判です。大統領経験者が刑事訴訟を受けるのは米国の歴史上初めてで、極めて異例なこととされています。
さて現在、米国は2024年11月の大統領選挙に向けた選挙戦の真っ最中です。現職のジョー・バイデンと民主党が優位なのは、産軍共同体等の多国籍企業と国際金融機関からの豊富な選挙資金とメディアの協力です。民主党の課題は、勝てる大統領候補がいないことで、バイデン候補は認知症を患い、息子のスキャンダルが足を引っ張り、カマラ・ハリスは、黒人で女性であることだけが取り柄で、政治的な実績は失敗続きです。その次のミシェル・オバマは、人前に出せないくらいの力量不足のようで、2016年にトランプ氏と大統領選挙を競ったヒラリー・クリントンには、どこに金銭的なスキャンダルが潜んでいるか分からず、白人なので黒人票を稼げません。
そんなわけで、民主党には戦いに使える候補者が無く、唯一のトランプ攻撃の手段が不倫裁判であったわけです。それさえも、トランプ夫人からの訴えが無いので、民事裁判ができず、口止め料の支払いの違法性を“不倫裁判”と称してほじくり出したわけです。
さて、アメリカは合衆国と呼ばれるように50の州の合議体です。その中でニューヨーク州とカリフォルニア州だけが極端に民主党が優勢です。前者は黒人が、後者は南米から不法移民が、民主党の支持者です。この2州は、他の48州とは異なる“不思議の国”で、地方自治における司法・立法・行政の3権を完全に手に入れています。
この有利な条件での裁判の告発は、元ポルノ映画スターのストーミー・ダニエルズ(本名ステファニー・クリフォード、下の写真)に13万ドルの「口止め料」の支払いを、トランプ氏が顧問弁護士に指示して個人の経費としたことです。この出費は、2016年の大統領選挙のスキャンダルにならない様に、口止め料を支払っているが、これは選挙対策であり、選挙費用としなかったことが虚偽である、という罪状です。
このニューヨーク州知事が選んだ政治的なバイアスがかかった裁判官と検事が進めているこの政治ショーは、まず、裁判の陪審員を選びでとん挫しました。陪審員選びは裁判官と検事及び被告側弁護士が面接で選びます。基本として陪審員が政治性を持ってはいけないのですが、裁判官・検事は弁護士と真逆の政治性を望み、選びます。しかし、陪審員は米国人であればトランプに対して意見を持たない方がおかしいわけで、当然難しくなります。12人の陪審員を数百人の候補者の中から選ぶのに、長い時間がかかりましたが、つい先日にようやく陪審員選びが終了し、4月22日から裁判が始まりました。
刑事事件なので、トランプは逮捕されましたが、下の写真は刑事事件で逮捕された際に撮られるマグショットと呼ばれる顔写真です。顔写真は大切な個人情報であり、原則として有罪が確定しなければ公表できません。しかし、民主党の州の警察から早速に“流出”したものです。この個性的で意志の強さを示す写真、民衆に民主党が望む影響を与えるかは、分かりません。
ニューヨーク州はこの裁判とは別に、トランプの経営する企業が不正利益を得たとして670億円の支払い命令の民事訴訟を行っており、トランプを財政的に締め上げる効果が有ます。これもトランプの選挙運動費を圧迫して、選挙妨害となります。
これらの裁判でトランプが敗訴となっても、そもそもが、米国の連邦最高裁はトランプ派の裁判官が多数を占めており、地方裁判所でトランプが有罪となっても、連邦最高裁まで上告されれば無罪となります。従って、現行の裁判の目的は、選挙への政治的な効果だけで、今後は選挙の行われる11月に向けてショーが盛り上がってくることになります。
そんな米国内の動きに対して、日本のメディアはニューヨーク州の民主党の動きは報じるが、残りの48州のトランプ優利の報道は行なわず、トランプ不利のイメージ報道だけです。ほぼトラの情勢下、新大統領による日本への影響力は大きく、もっと報道すべきと思います。しかし、日本の大手メディアは国内の小池問題と補欠選挙に熱中しており、米国の選挙を報道する余裕が無いのでしょう。
最後に余談ですが、トランプは3回の結婚で5人の子供と、10人の孫がいます。これくらいのバイタリティーが無ければ、米国大統領の職を全うすることができないのではないでしょうか