羽根邦夫Blog

”工学博士、電磁波対策製品WAVESAFE発明者のブログ”

中国製ステルス機用レーダーと電子戦

 ベネズエラとイランで、中国製のステルス機にも対応するというレーダーが働かないことが、軍事マニアの間で話題となりました。しかしこれは、中国製が劣るのではなくて、米軍の戦術が勝っただけの話しでしょう。
 レーダーは送信機が送った電磁波が飛行機や船、地形で反射して、この反射波を送信機で受けて、電磁波の往復の時間からその物体との距離を測定します。電磁波が物体に照射された時、その物体が電磁波の波長よりも十分に大きな時に、電磁波はその物体表面で反射します。そこで、周波数を小さくして波長が長くなり、物体の大きさと波長が一致した時、物体は電磁波のエネルギーを吸い込み再び放出します。つまり、入射した電磁波は方向を変えて放射されます。これを散乱と呼びます。
  周波数をさらに下げて波長が物体よりも長くなり共振周波数からずれると、電磁波は共振はしませんが弱く散乱して電磁波を周囲に放射します。これは共振する周波数よりも大きい(波長が短い)場合でも起こります。太陽光が空気中の水の分子に当たって方向が変わり白く見える雲の原理です。ただし、この散乱を起こす周波数の範囲は、共振周波数よりも2倍以下、2分の1以上でしょう。
 さて、最近のレーダーは扱いやすさからXバンド(10~12GHz)帯を使用し、物体よりも大幅に短い波長の電磁波を使うので、飛行機や軍艦は外板を平らにして入射波に対して反射波を違う方向に送り返すことで、レーダーから見えなくします。さらに、ステルス機の場合は、機体表面に電磁波を吸収する塗料を塗って、反射波を減らします。それでも、波長に対して機体の大きさが近い場合、入射電磁波を散乱させるので「そのあたりに何かが有る」ことが分かります。そこで、ステルス機を検知するレーダーは、波長が10cm以下のXバンドではなくい、波長が50cm~数mのUHFやVHF帯を使い「白い雲」を探します。

 写真で見る中国製と言われVHF帯の電磁波を使うレーダーのアンテナは、巨大な構造物でアンテナの送信ビーム角はほぼ0度で戻ってきた反射波を検知します。しかし、実際には中国のステルス用レーダーは役に立ちませんでした。理論では可能でも現実が違った原因は何でしょう。
 攻撃側の米軍にとって一番簡単で効果的なのは、遠く離れた電子戦機から送信機と同じ周波数で同じ変調をした電磁波を送って、地上のレーダーを混乱させおき送信源を対レーダーミサイルで破壊することです。これは数10年前からある技術です。
実際に、中東でF35Aが味方のミサイルで撃ち落とされる誤射が有りましたが、これは通常のXバンドレーダーでも電子戦機の防護が無ければ、地上据え置き(おそらく)の高出力レーダーには見えてしまうのです。
 要するに、中国は電子戦への対応が出来ていない大きなドンガラを使おうとして失敗しただけの話です。しかし、米軍の使う電子戦機や対レーダーミサイルなどへの対処方法として、多数の受信機を分散して配置するバイスタティック方式があり、今後はこのシステムの拡大を図るでしょう。しかし、この受信機をつぶされても働かなくなり脆弱性は増すので、軍事システムとしては不十分です。ここしばらくは米国製の独壇場となるのでしょう。
 そして最後に、日本には2機のC2輸送機ベースの電子戦機があります。しかしこのような高価な機体を持ち出すわけに行きません。自衛隊は以前からFA18の電子線型のEA-18Gグラウラーの取得を希望していました。その時は、秘密保持の点で許されませんでしたが、高市内閣となってスパイ防止法が整えば購入できるかもしれません。

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