羽根邦夫Blog

”工学博士、電磁波対策製品WAVESAFE発明者のブログ”

日本政府の新型AI「源内」

 日本政府のデジタル庁が音頭を取って、国家公務員の業務を支援する目的で、国会における議事録作成や答弁書を書く生成AIを創り、「源内」と名付けました。源内は、国会の審議に関わる要件に特化したLLM(大規模言語モデル)型のAIです。「源内」は、江戸時代の技術者の平賀源内から取った名称でしょう。なお、この日本政府が発注者となったの生成AI「源内」は、NEC,富士通、NTTデータ、Preferred Networks(PFN)などが構築したシステムです。

 LLM型のAIは多数の関連資料の中から、質問への回答案を多数選び出してその中から最適な一つあるいは複数の回答を選びます。この回答案の抽出、選択、まとめ方はLLMプログラム作成者が仕込んだものなので、回答にはAI作成者の思想と思惑が強く影響します。これは、源内AIは質問内容を分析して論点を整理し、過去の議事録と成立している法律をベースにして回答案を創るからです。源内に回頭を求めた議員や職員は生成された回答をさらに吟味検討して答弁を行い、付随的に、AIでの回答を創る過程で法的な欠落点が有れば、新しい法案の作成も可能とのことです。
 さて、国会審議と言う重要な議論の資料には議員や職員の最終チェックが入りますが、基となる答弁にはLLMを作成し教育した者の思想と思惑が反映されていることに留意しなければなりません。つまりLLMで多数の回答案が選ばれてから、答えを創る過程でのLLM作成者の回答案選択での偏りは、正解が1つしかない理系の分野と違って、法律の解釈と時事問題への考慮が文系の課題においては、政治的に偏った回答となる危険が残るからです。
 政府の発表では新しい法案の作成も可能としましたが、国内の法規だけを参照するだけでは不十分で、少なくとも国外の主要先進国での先例についても参照することが求められるでしょう。こうなると、外国の事例としての法律用語の翻訳と解釈など一気に複雑さが増すので、今後しばらくは源内を育てるのに時間を要するのではないかと思います。
 とは言え、源内によってこれまで人力に頼っていた議事録と関連する法規の資料集めがAIでできることは、正確さが増し、答弁書作成への時間が短縮されることだけでも大きな効果が有ります。さらに、最近流行りの週刊誌ネタを元にした質問に対して、源内が「コノシツモンガコンキョトスルジレイハソンザイシマセン」と答えてきたら、質問者はどうするのでしょう。

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